【◇】ばつこい

014.ほんとは ページ14

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「終わっちゃったねー」

「結局半分くらいは祭から離れてたけどな」

「はは、でも楽しかったからいいよ」





お祭りは終わったけど、まだ賑やかな会場を背に夜空の下を御幸と二人で歩き出す。

夏だというのにたまに吹く風が冷んやりとしていて、どこか切ない気分になる。





「星が見えないな」

「え？……あ、そうだね。お祭りの明かりのせいかも」





きっとこの場を繋ぎ止めるための会話。
それを察することができてしまうのは、幸か不幸か。


空を見上げる御幸の横顔をちらっと盗み見た。相変わらず整ってるなあ。

性格さえ良ければ絶対もてるはずなのに。



そんな失礼なことを考えていると不意に御幸と視線が絡まり、胸が小さく高鳴る。





「葉月、……ちょっと、話がある」

「！…………う、ん」





つきあってる男女の「話がある」なんて、
その先に思いつく内容は一つしかない。




嫌だ。

まだ御幸といたい。



負の感情が身体中を駆け巡る中、それでも御幸が決めたことならばと、彼の意見を尊重しようと決意した。


ずっと好きだった人とつきあえて
今日は初めてのデートをして
たくさんの幸せをくれたんだから、

せめて最後くらいは笑顔で円満に終わろう。




そう思っていたのに、御幸の話は私の予想の斜め上を行った。





「あのさ、俺、去年の冬にお前に告っただろ？」

「？……うん」





言いづらそうに頭をかく御幸を、ぼんやりと見つめる。





「あれ、ほんとは……」





ああまただ。

たまに現れる、何か言いたげな罪悪感を抱いてるような複雑な表情。


御幸はふうっと息を吐き、「ほんとは」と決意を固めたような瞳でもう一度言い直す。





「…………バツゲームだったんだ」





突然の告白に頭が混乱してわけわかんなくなって、悲しいとか酷いとか思うよりも先に、初めから私の一方通行だったのかと冷静に分析している自分がいた。





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