006.女子力なんて ページ6
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食器洗いを済ませ、お風呂に入った後、ソファでテレビを見ている成宮さんの隣に腰掛ける。
明日は一限目から授業があるから、あんまり夜遅くまでは起きないようにしよう。
「洗濯は?」
「今、回してます」
「そ」とそっぽを向く成宮さんは、本気で私のことを雑用として扱うらしい。別にいいんだけど、野宿するよりかはマシなんだけど、成宮さんに見下ろされているようでなんかむかつく。
胸の奥にむかむかした気持ちを留めていたが、そんなのはテレビに映る芸人が落とし穴に落ちた時にすうっと消えて、私はくすっと笑った。
成宮さんも今のところが可笑しかったみたいで、ははっと短く声を出して笑った。
なんかいいな、こういうの。
「落とし穴に落ちる時ってどんな感じなんでしょうね。ふわっと心臓が浮くような感じとかするのかな」
「試したいなら作ってあげるけど」
「成宮さんが言うと冗談に聞こえないんでやめてください」
これで明日学校から帰って、玄関に足を踏み込んだ途端に一階まで落下したらほんとにうける。
しばらくソファの上で膝を抱えたままぼーっとテレビを観賞していたら、突然隣から手が伸びてきて、まだ濡れている私の髪に触れた。
私はずざっとソファのギリギリまで後ずさりして「な、なんなんですか」と言って呆れた顔をしている成宮さんを見つめ返す。
ていうか近いな、距離が。
「お前さあ……髪も乾かさないの?」
「えっ…あ、大体自然乾燥で」
「だからそんな昆布みてーな髪してんのな」
「こ、昆布って…!乙女の命になんてことを」
「乙女?おれの前には昆布しかないけど」
「成宮さんの目は節穴ですか」
成宮さんは「たく、しょーがねえな」と唇を尖らせつつ、洗面所の方へと行き、ドライヤーを持って戻ってきた。そしてコードをさして私の髪をぐっと引っ張る。
「いたっ!痛いです!暴力反対!」
「黙ってそこにいろ」
後ろから髪を揺らす生暖かい風。私は抵抗するのをやめて心地よい暖かさに身を任せた。ドライヤーなんて使うのいつ振りだろ。
成宮さんの私の髪をかきわける手つきが、柄にもなく優しくて、なんというか。
「……慣れてますね」
「あ?」
「彼女さんの髪も乾かしてあげてたんですか?」
「元カノはおれが乾かしてあげなくても自分で乾かしてる女子力高い子だったから」
「………….すみませんねぇ女子力の欠片も無い女で!!」
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ましゅまろーず(プロフ) - 夏乃実さん» 成宮くんと元カノさんの区切りがやっとついたので、成宮くんには夢主さんとのデートを楽しんでもらってます笑 いえいえ、そんな私なんてまだまだです…!ありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2017年3月27日 8時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - 初コメ失礼します!!毎回毎回ドキドキしながら読ませてもらってます。鳴ちゃん書くのがとっても上手くて尊敬します!更新頑張ってください^^* (2017年3月26日 23時) (レス) id: 926ac8ac50 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - *.-+樺虹+-.*さん» いえもう本当に私の理想の成宮くんを書いているだけなので…!笑 イケメンさを表現できているなら安心しました笑 樺虹さんありがとうございます!更新頑張ります♪( ´▽`) (2017年3月23日 22時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
*.-+樺虹+-.*(プロフ) - 突然コメント失礼します!もう鳴がイケメン過ぎてやばいです!! 占ツクから通知来ると、bitterhomeかな??って思うほど楽しみにしてます!!これからも頑張ってください!! (2017年3月23日 18時) (レス) id: 7b9748159c (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - 胡美さん» 御幸くんはここでは成宮くんの友人ポジションという、キューピッド役になると思います笑 作者が真田くん好きなので出してみました! ありがとうございます^_^ (2017年3月20日 15時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましゅまろーず | 作成日時:2017年3月2日 18時