【◇】Bitter Home

036.クリぼっち ページ36

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「成宮さん成宮さん！！」

「うざいうるさいうざい」

「うざいって二回言いましたよね！」





ソファに仰向けになって漫画を読む成宮さんの耳元で叫ぶと本気で嫌な顔をして怒られた。
うん、今のは自分でもうざいと思った。反省。


大学は冬休みになり早数日。街がイルミネーションで彩られたり、ショッピングモールに着ぐるみのトナカイやサンタさんが現れたりとクリスマスモード一色だ。

成宮さんもシーズンオフで午前中に自主トレをしに家を出るが、午後や夕方には帰ってきてごろごろしている。



私は成宮さんの漫画をひょいっと取り上げ、彼の顔を覗き込む。





「成宮さん聞いてくださいよ！」

「そんな大声出さなくても聞こえるっつの」

「明日のクリスマスに親友とカラオケで一晩騒ぎまくる約束してたんですけど、親友が今日インフルエンザになったみたいで！！」

「へー」

「今更誰かと遊ぶ約束なんてできないし、フリーなんです！」

「へー」





いやなんか反応しろよ！！
ほんと私には優しくないこの人……。

半開きな猫目でひたすらへーとしか言わないとかなんなの。





「さあ問題です！！クリスマスに予定のない女子がいたら紳士の成宮さんはどうしますか？！」

「鼻で笑う」

「……」





成宮さんなんかに聞いた私が馬鹿だった。

最低な模範解答をした成宮さんにジト目をすると、ははっと目を細めて笑った。そしてソファから起きて「嘘。つきあってるよクリぼっち女に」と頭をポンポン撫でる。





「……私につきあってくれるってことは成宮さんもクリぼっちだったってことですよ」

「るせっ」





意地悪なことしてくるくせに、結局最後は私の欲しい言葉をくれて。

年上らしく私を甘やかしてくれる成宮さんは、なんか嫌いじゃない。





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