013.距離間 ページ13
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麻由?
誰?
抱き締められているこの状況と、成宮さんの口から出てきた知らない名前に困惑している中、成宮さんはもう一度「麻由…」と腕に力を込めて愛しそうに呟いた。
今、成宮さんの瞼の裏には麻由さんという人物が映っているのだろうか。
____「……いたし!別れたけど!」
もしかして、元カノ?
あの時は普通に受け流してしまったけど、成宮さんのこの様子を見る限り、きっと未練があるんだ。
なんて、推測だからまだわからないけど。
「成宮さん」彼の背中を少し強めに叩き、起こそうと試みる。
「ん……?」
完全には眠りから覚めていない声が聞こえた。
「あれ……」
「やっと起きましたか」
「えっ……て、はあ!?」
背中に回されていた腕の力が緩んだかと思えば、やっと起きた成宮さんと至近距離で目が合って。
動転した成宮さんの巻き添いをくらって、二人で床に転げ落ちた。
「いった……」
「……ちょ、何してんの綾瀬」
「はい?」
床に打ち付けた背中をさすりながら聞き返せば、成宮さんは上半身を起こして「俺の睡眠中に何やらかしてるわけ?」と被害者顔で言った。
いや、被害受けたのはこっちなんですが。
「私じゃないですよ、成宮さんが…」
「いーや、俺は寝ぼけてても記憶失ってもお前なんかには手ぇ出さないね!」
「別に手ぇ出されたわけでもないし……」
成宮さんが麻由さんと間違えたんです、
とは言えなかった。なんとなく。
知り合いとはいえ、まだ成宮さんとそんなに信頼関係があるとは思えないから、プライベートな部分までは踏み込まない方がいい。
話したいと思ったときに話してもらえればそれが一番いい。まあ、成宮さんが私なんかに恋愛の相談とかは持ちかけないだろうけど。
「とにかく、ベッドで寝てください。ソファで寝るのは私で十分です」
「へえー。散々文句言ってたくせに、どういう風の吹きまわし?」
「……今日奢ってくれたお礼です」
猫目でそう答えると、成宮さんは目を小さく見張った後、「ははっ」と短く笑った。
「ほんと可愛げねーのな」
「明日朝食無しにしますよ?」
「あ?何、お前この家出てってくれんの」
「すみませんでした、心を込めて作らせていただきます」
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ましゅまろーず(プロフ) - 夏乃実さん» 成宮くんと元カノさんの区切りがやっとついたので、成宮くんには夢主さんとのデートを楽しんでもらってます笑 いえいえ、そんな私なんてまだまだです…!ありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2017年3月27日 8時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - 初コメ失礼します!!毎回毎回ドキドキしながら読ませてもらってます。鳴ちゃん書くのがとっても上手くて尊敬します!更新頑張ってください^^* (2017年3月26日 23時) (レス) id: 926ac8ac50 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - *.-+樺虹+-.*さん» いえもう本当に私の理想の成宮くんを書いているだけなので…!笑 イケメンさを表現できているなら安心しました笑 樺虹さんありがとうございます!更新頑張ります♪( ´▽`) (2017年3月23日 22時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
*.-+樺虹+-.*(プロフ) - 突然コメント失礼します!もう鳴がイケメン過ぎてやばいです!! 占ツクから通知来ると、bitterhomeかな??って思うほど楽しみにしてます!!これからも頑張ってください!! (2017年3月23日 18時) (レス) id: 7b9748159c (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - 胡美さん» 御幸くんはここでは成宮くんの友人ポジションという、キューピッド役になると思います笑 作者が真田くん好きなので出してみました! ありがとうございます^_^ (2017年3月20日 15時) (レス) id: 8071ad0c84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましゅまろーず | 作成日時:2017年3月2日 18時