【◇】18 -eighteen-

18 -eighteen- ページ18

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「A」

「……はい？」




涙をぬぐいながら俺を見上げるAに、ポケットを探って今朝もらった「Aを1日好きにできる券」をぺらっと差し出す。




「まだ、1日終わってねーよな？」

「……は、はい」

「じゃあ、俺にキスして」

「……は、はい！？」




笑って言うと、顔をぼっと赤くして「無理無理無理無理です！！」と全力で首を横に振る。

「ほんとに今いっぱいいっぱいですから！！」と全力で拒否するAにそこまでするかと笑いつつ、「ん」と目をつぶる。




「あ、あの…御幸先輩？」

「今日俺、誕生日なんだけど」

「………そ、そのまま…目、瞑っててくださいね」




Aはゆっくり俺の近くによると、ぺたんと俺の前に座る。

手を床についたまま、恐る恐るという感じで目をつぶって俺の唇に自分の唇を寄せる。


俺は伏目で目を開けたまま、あーかわいと思いつつAを見つめる俺。


ふにっと柔らかい唇が当たって、1、2、3と3秒経つとぱちっとAが目を開けた。




「っ…なんで！なんで目ぇ開けて……ん」




Aの手首を掴むと、噛み付くように唇を重ねて押し倒す。

最初はもがいていたAも、何度も何度も角度を変えてキスを落とせば、唇を離すたびに「はぁっ…」と荒い息が漏れ始める。




「A、好き」

「…………私もです」




Aは頬を紅潮させて、小さく笑うと、もう一度キスをしようとする俺の唇をふにっと人差し指で止める。




「先輩、お誕生日おめでとうございます」

「………ありがと」




小さく笑いあって、もう一度キスをしようとすれば、すごい勢いで部屋の扉が開いた。




「御幸ぃぃぃい！！」

「御幸一也ぁぁぁあ！！」

「あ…」



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fin

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