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「ありがとう、また来てね」


そう言って僕はファンの子の手を離した。




そして次のファンの子の手を優しく包む。



その時だったんだ。




「英智くん、すごくかっこよかったよ」





「王子様みたいだったよ」





「え…?」



びっくりしてその子を見ると、あの時から成長した君が目の前にいた。



「見に来てくれてたんだ…」



僕が負けたライブに君が見に来てくれていた。


そしてあの時と同じ言葉を、あの時より少し落ち着いた声で僕に向けた。


「うん、本物の王子様が目の前にいるみたいでびっくりしちゃった」


そう言って君は、あの時と同じ笑顔を見せたんだ。







その時僕は思ったんだ。





ああ、君の瞳の中の僕はあの頃からずっと変わらず''王子様''でいてくれたんだ。









''皇帝''ではなく、''王子様''で。








「おや、珍しいですね」


隣にいた渉が僕を見てそう言って、ふと我に返った。





その時やっと気づいた。






僕はどうしようもなく涙を流していたことに。






「ありがとう、また来てくれる?」



「うん!

また来るね、かんばって!」








ありがとう







君がいてくれる



それだけで僕は、また頑張れそうな気がするよ。









いつかまた君の瞳の中にいる僕に、なれるように

終わり ログインすれば
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作者名:chika | 作成日時:2020年3月6日 16時

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