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帰りはいつも通り三ツ谷が送ってくれている。
行きとは目の前の景色が違うけれど、これはこれでとても落ち着く。
「行きは千冬の後ろに乗って来たんだろ？」
『うん。』
「良かったな。」
『うん！』
わたしはふと思った事を聞いてみる。
『三ツ谷、』
「ん？」
『バイクってさ、高いよね？』
「そりゃ高いんじゃね？…Aバイク欲しいの？」
『いや…うん、千冬に、プレゼントしたいな。って。』
「…なるほどね。｣
『でも、やっぱ高いよねー…』
バイトなんてしてる時間はないし、
だけど、小さい頃からコツコツ貯めた貯金は少しある。
ふと前方にカップルがバイクに乗る姿が目に入る。
後ろに乗る女の人はとても幸せそうな顔で。
だけど、それに負けないくらい幸せそうに見える前に乗る男の人。
『…』
それを千冬と自分に重ねてみたりして。
千冬もあんな顔…してたのかな。
してくれてたらいいな。
『決めた！』
「？」
『お金貯める！そんで、千冬の誕生日にバイクプレゼントする！』
「千冬の誕生日っていつ？」
『12月19日。』
「半年もねぇじゃん。」
『……』
「金、貯まんの？」
『貯まんのじゃないんだよ、貯めるんだよ。』
「そーかよ。」
あと4ヶ月でバイク、か……。
とにかくやるしかない。
よし。
気合いを入れ直すわたしに三ツ谷が言う。
「無理はすんなよ。」
『うん。頑張る！』
「いや、だから無理はすんなよ。」
『うん！頑張るね！』
「うん。もういーわ。頑張れ。」
『うん！』
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作者名：Tmwixx | 作成日時：2022年10月10日 9時
