前髪上げるのは、反則! #1 ページ34
2005年8月3日
武蔵祭り当日。
あのあと浴衣を持ってないとエマに話したらお祭りに浴衣着ていかなくてどうするの。って怒られた。
そして昨日、エマに無理やり連れ出され浴衣を買いに出掛けた。
あとからヒナちゃんも合流してくれて3人でお買い物が出来て凄く楽しかった。
いや、もう、本当に。
「昨日は楽しかったね!」
『うん、女の子と出かけるなんて滅多にないから、凄く楽しかった!』
「Aのまわりは昔から男だらけだもんね。」
ちなみに今はお祭りへ向かってる最中だ。
着付けや髪の毛など、全部エマがやってくれた。
佐野家を出る時にマイキーに会った。
わたしを見たマイキーは、
「A、すっげぇ可愛い。ちょー綺麗。」
なんて、真顔で言ってくるから柄にもなく照れたのは言うまでもない。
そのままマイキーはバブでどこかへ出掛けてしまった。
何処に行くのか聞いても教えてくれなかった。
『…』
少し気になって考えていたが
エマのひと言でその考えも吹っ飛んでしまう。
「あ!Aの彼氏はっけん!」
「え?Aちゃんの彼氏さん見たい!」
エマの視線の先を見れば、
紺色の浴衣に身を包み、前髪を上げた千冬が立っている。
『……』
やばい。
格好良すぎて動けない。
いつもなら千冬の格好良さに悶絶するか地団駄を踏むかしている所だけれど、想像をはるかに超えた姿にわたしは心臓を鷲掴みにされて動けない。
「彼氏も浴衣じゃん!やっぱ浴衣買って正解!」
「わー、彼氏さん格好良いね!」
『……』
「Aちゃん?」
動かず何も喋らないわたしに不思議そうなヒナちゃん。
「ダメだ。固まってる。ほんっと、Aは彼氏の事大好きだよね。」
恐らく呆れているエマが聞き捨てならない事を言い出す。
「ほら、Aが早く行かないから変な女達に話し掛けられてるぞー。」
その言葉に意識を取り戻せば
女の子の二人組に話し掛けられている千冬の姿。
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作者名:Tmwixx | 作成日時:2022年10月10日 9時