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『…』
自分でも信じられないくらいの早さで千冬の元へ歩いたわたしは気付けばそのまま千冬の名前を呼んでいた。
『千冬!』
女の子達に素っ気ない態度をとっていた千冬がこちらを見て笑顔でわたしの名前を呼んでくれる。
「A!」
それだけで満たされるわたしの心。
そのままこちらへ歩いて来てくれる千冬の後ろで女の子達が立ち去っていくのが見える。
その後ろ姿に、わたしの千冬に一生話しかけんな!
と思うわたしは性格が悪いのだろうか。
わたしの前まで来た千冬は口を開こうとはせずただわたしを見ているだけだった。
「……」
『?』
浴衣姿の千冬に少し慣れてきたわたしはそんな千冬に話しかける。
『千冬?』
「…!あ、わりぃ、A綺麗だね。浴衣すげー似合ってる。」
『……』
わたしの大好きな笑顔でそんな事言うから
また固まるわたし。
エマに心から感謝する。
『ありがとう。千冬も凄く似合ってる。凄く格好良い!』
前髪上げてる所なんて特に。
「……ありがとう!」
って更に笑顔になるからわたしも自然と笑顔になる。
気付けばエマ達は居なくなっていた。
「んじゃ、行くか!」
って千冬が差し出してくれた手を握る。
胸の奥から溢れてくるコレは何だろう。
胸の奥がぎゅっとなる。
その正体はわたしにはまだ分からないけれど
ひとつだけ分かること。
とにかく幸せだ。
『うん!』
いざ、お祭りへ!
それから普通にお祭りを楽しんだ。
チョコバナナに、焼きそば、唐揚げ、カステラ、
…食べ物ばっかなんて気にしない!
浴衣がさっきよりキツいのなんて気のせいだ!
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作者名:Tmwixx | 作成日時:2022年10月10日 9時