colorful station.。

station twelve.。 ページ46

＿バレンタイン奮闘記＿



今日は2月14日。

女の子が好きな男の子にチョコを渡す日。
世の女子たちは、今頃チョコ作りに奮闘しているだろう。

それは私とて例外ではなく…


「な…なんでこうなっちゃうの…？」


私、A。
只今絶賛奮闘中です。







「うむむ…」

料理本を何度も見直す。
ちゃんとレシピ通りに作っているはずなのに…


「なんでこんな…
ボロボロなガトーショコラになったんだろう…」


解せぬ！！
なんでガトーショコラがこんなボロッボロになるの！？
普通きれいな丸型になるはずなのに！

私よ、一体どこで間違えた


「どうしよう。
こんなケーキじゃあいつに渡せない…」


私がチョコをあげる相手。
それは、幼馴染の黒木貴和。

なんでも器用にこなせて、まさに完璧人間で。


おまけに顔もよくスタイルも抜群。
そんなイケメンを女の子たちが放ってほくはずがない。

きっと今年も、たくさんチョコを貰うんだろうな…。

そう思って、急に肩を落とした。


ひょっとしたら、私がチョコをあげなくても、貴和は気にしないんじゃないかな…。


どうせ可愛い子たちからいっぱい貰うんでしょ？

いや、別に嫉妬とかそんなんじゃないよ！？
ただ、悔しいとか思ってるだけで…。
決してヤキモチなんか…


「って、そんなこと考えてる場合じゃないよ私！！」


本当にやばいよ、どうしようこれ。
作り直そうにも材料がもうないよ！
自分のお小遣い継ぎ足しても、お金足りなくて材料買えないし…。




ああ、もうダメだ…。

私って、本当に昔から何やっても不器用なんだ。

家庭科の成績は不器用なせいでずっと2だし、
いつも何もないところで滑ってこけるし、
頭も悪いし、運動音痴で体硬いし、
人の名前もずっと間違えちゃう。







でもね。

こんな不器用でドジな私に、貴和は13年間ずっと付き添ってくれたの。



「大丈夫？」
そう言って、手を差し伸べて



「ここはこの数字を代入して…」
苦手な数学を一生懸命教えてくれて






「Aは体硬いね。
一緒にストレッチしようか」
サッカーの練習や塾で忙しいはずなのに、一緒にストレッチに付き合ってくれて








そんな貴和の優しさに、私はずっと救われてきたから。







だからこの日くらい、貴和にお礼がしたいの。
たとえ、私の想いが伝わらなくても…

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