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「ここです」




結局マンションまで送ってもらってしまって、横の屋根のある駐車場で一旦雨宿り。

ちょうどそのとき復旧したみたいで、蛍光灯がチカチカして明かりがついた。



ずっと暗闇で急に明るくなったから眩しくて、
目の前の彼の顔もはっきりと見えて
お互いまたぎこちない距離に戻る。




「結局送ってもらってすみません、ありがとうございました」

「いえ、僕もマンションこの向こうですし」

「あっ」

「ん?」

「肩…」

「あぁ、全然平気ですよ」




灯りがともって気づいたけど、グレーのTシャツを着た彼の右肩は雨でぐっしょり濡れていて、わたしなんかのために傘を傾けてくれていたことに今更気づいた。




「そんな風邪ひいちゃう、家上がってください!お風呂か、あったかいもの何かっ、」

「え?!」

「…っえ!あ!!すみません、そうですよね、すみません…で、でも、ちょっと待っててください、タオルとってくるんで」

「そんないいですよ」

「これぐらいさせてください!」




なんてことを口走ったんだと、恥ずかしさから逃れるためにも急いでマンションのエントランスに入って2階の部屋からタオルを取って、一呼吸置いてから彼の元に戻った。




「すみません、ありがとうございます」

「そんな、とんでもないです…」




お言葉に甘えてと、濡れた肩や腕を拭く彼は
やっぱりきれい。

見惚れてしまうほど。





「僕らすみませんばっか言ってますね」





彼のタオルを持つ大きな手に見惚れていると、彼は目尻にシワを作って小さく笑った




「こういう時は、"ありがとう"ですよね。
タオルありがとうございます」

「そんなっ!雨の中送ってくださってありがとうございます。それにコーヒーも…。あ、お代金」

「いいです、いいです。僕が勝手にしたことだから」

「でも」

「…じゃあまた来週も来てください。
金曜日の21時前。」

「バレてたんですね」

「バレてたって。ずっと前から知ってましたよ?」




頭を拭きながら上目遣いでちょこっと笑った彼。


ああ、やばい恥ずかしすぎる。

毎週金曜日に通ってるもんだから、常連レベルだと思ってたけど、いざ直接いつもコーヒーを淹れてくれるこの人に言われると、なんだか急に恥ずかしくなった。

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Chapi(プロフ) - ふーさん» ふー様 お返事が大変遅くなり申し訳ございません!素敵なご感想をくださり、ありがとうございます。私自身慌ただしい日々の中で心落ち着かせる時間って大切だなと思うので、届いてくださって嬉しいです。ゆったりではありますがこれからもよろしくお願いいたします! (2022年12月11日 21時) (レス) @page39 id: bb7ad5c321 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - 更新ありがとうございます!このお話読んでいると私の時間までゆっくり流れるような気がして、世界が少し優しくなります。ありがとうございます!次の更新も楽しみにしています^^ (2022年10月24日 19時) (レス) @page38 id: aa1a944516 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chapi | 作成日時:2020年9月14日 23時

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