長く退屈な日々の中で２【クザン】

７５匹目 ページ30

貴「僕が断る理由はね

怖いからだよ 失った時の悲しみが」




コビーは少しわからないという顔をする




コ「それは誰だって同じじゃないですか

僕だって誰かを失うのは怖いし悲しい」




貴「僕の場合はそれが大きすぎるんだよ」




あの時のことを思い出しながら続ける




貴「もう何十年も前にね

コビーみたいに、僕の事を好きになってくれた人がいたよ

結婚して、子供はなかったけど

幸せに暮らしてたんだよ

でも年々思い知らされたよ

僕は普通の人のようにはなれないって

寿命が違いすぎるんだよ

あっという間に彼に先立たれてしまった」




話しながら、僕の目には水が溢れ始める




貴「僕も死んでやろうと思ったよ……

でも彼がダメだと言ったんだ

最後のお願いくらいきかなきゃ

僕が生きてる意味が無い

僕は彼との約束のためだけに生きてるよ」




溢れ出る水を袖で強く拭い




笑顔を貼り付けた顔で言う




貴「それに、自 殺しちゃったら地獄行きって言うでしょ？

そんな所に行っちゃ、彼に会えないからね

長いこの人生を受け入れるしかないんだ」

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