〜キス・キライ・スキ〜𝒩𝑜.17 ページ24
花日Side
ヨレヨレになった私達がドラッグストアから出ると,もう雨が止んでいた。
結衣ちゃんの手には,戦利品の生理用ナプキンがある。外から見えないように,不透明の袋に入れて貰っているから安心だ。
花日「何とか買えたね〜〜〜〜」
結衣「花日がいてくれたからだよ」
ありがとう,と結衣ちゃんが嬉しそうに笑った。
今日一番のいい笑顔を見たような気がして,私まで嬉しくなってくる。
結衣「あ。私こっち」
家の近くまで戻ってき所で,結衣ちゃんが道の先を指差した。
花日「うん。じゃあ,また明日!」
歩きながら何度も結衣ちゃんが手を振る。結衣ちゃんが見えなくなった後,私は大きくため息をついた。
結衣ちゃんはもう大人の階段を上ってる。だけど,私はまだ・・・・・・。
花日「生理,いつ来るのかな・・・・・・」
結衣ちゃんやお姉ちゃんみたいにキレイじゃないし,他の子みたいにお洒落でもない。
それにやっぱり恋なんて,ぜんぜんわからない。こんなに子供っぽくて・・・・・・私・・・・・・。
花日「大人に,なれるのかな・・・・・・?」
足元を見ると,雨上がりの帰りには,私の影だけが長く伸びていた。
次の日から,リコーダーの特訓が始まった。
場所は放課後の屋上。教室だと皆があちこちで練習していて,下手っぴな私は周りの音につられて上手く吹けなくなるから,別の場所でやろうと高尾が誘ってくれた。
ふたりだけの屋上は広くて気持がいい。コンクリートには昨日の雨がいくつも水溜まりを作っていて,夕焼け色の雲を移していた。ここなら音を外しても誰も聴いてないし,安心してリコーダーが吹ける。・・・・・・と思ったんだけど。
楽譜と睨めっこしながら息を吹き込むと,ピョロロ〜と変な音が出た。すると高尾がクスクス笑う。
花日「笑わないでよ〜〜〜〜」
私が文句を言うと,高尾はちょっとだけ笑い飲み込んだ。
高尾「随分,個性的な音だと思って」
花日「いーよ,気を使わなくて」
高尾「じゃあ・・・・・・ド下手だね」
すっごい笑顔で言われてしまった。
花日「そこまで言わなくても!」
高尾がアハハと声を上げて笑う。もう,何を言っても笑うんだから。
花日「高尾はいいよね。上手だし。私,リコーダー苦手だもん」
高尾「でも完璧に出来るように,頑張るんだろ?」
「あたぼーよ」ど言い返すと,
高尾「綾瀬は,そういうやつだよな」
ふわっと高尾が微笑んだ。あれれ・・・・・・とってもいい笑顔。
でも,その笑顔よりもずっと暖かい温度で,高尾の言葉が胸に染み込んできた。
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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...
作成日時:2023年4月23日 0時