プロローグ ページ1
江戸の夜は明るい
お酒の匂いが道行く人から香ってくる
「A、準備をし」
「はい。分かりました」
振袖新造
花魁の世話係及びお客様が多くなった時に代役をする役目
客はとらないが姉様方のお手伝いをする。
私がお手伝いをしている方は沢山いる。
幼い頃家の事情でここに出された。
だが客は取らない
ずっとお手伝い
代わり映えのしない日々が何年過ぎただろうか
着物の着付けを終えた花魁の方々が座敷へと入っていく
…あぁ
「…ここから出れたら」
一生をここに置くと決めた命
だが時に素敵な男性のもとへと行く姉様方を見ると自由になりたいと思う
だがそれも夢のまた夢
叶うわけない。
少し経ち座敷の掃除や台帳付けをしていると1人の女性が困った様子でこちらにやってきた
…何かあったのかな？
「どうされましたか？」
「お酒がきれてしまいまして」
「え、お酒が。
では私が買ってきましょう。」
台帳を閉じて外へと行く
山野さんの酒屋さんまだ開いてるだろうか
草履を履いて道を走る
女性がこう走るのははしたないと言われるが今は一大事だ
走って行く途中1人の若い女性が3人組の男に囲まれてるのを見た
「おい、俺の相手しろや」
「い、嫌です」
「はぁ？！誰にそんな口聞いてんだ？」
「やめて下さい」
私は女性と3人組の男の間に入っていた
男は急に来た私を見て眉間にしわを寄せていた
「誰だ？お前は」
「…ここの近くで働いているAと言います。
この方は帰らなければならない場所があります。
どうかお引き取り下さい」
本当は心の中では怖い
けどずっと変わらぬ生活をしていたせいか麻痺をしてしまっているらしい
すると男の1人が私の胸ぐらを掴んできた
「お前、快楽というのを知らんのかい？」
「無理やり女性を襲うことが快楽にはならない」
そう言うと周りの人達が「おぉ」と声を上げていた
だがすぐにその声はかき消された
「なんだと？、この」
男は私の首に手をかけていた
苦しい
咄嗟に男の腹を殴ると男は私を地面に叩きつけていた
頬が…痛い
「っ、ぐっ」
「そうやって大人しくしてれば良かったんだよ！」
男はそう言って私の着物の襟に手を入れようとしてきた
が
「汚いやり方で抱くのは恥だな」
一人の男性がそう呟きながら男の手を掴んでいた
その人は黒髪で黒と紅の入った着物を着ていて
闇に溶け込む椿のような人だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 271人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男性声優」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綉 - おはようございます。これって読んで行かないと誰が出て来るとかってって分からないんでしょうかね？ (3月15日 7時) (
レス) id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - うわぁあああ！！ はる春さんだぁあ！！この話大好きです！ (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅり(プロフ) - ハル春さんの作品大好きです！更新楽しみにしてます。 (2018年8月8日 23時) (レス) id: 229459fcea (このIDを非表示/違反報告)
ゆかこ - この続きが気になります！！ (2018年8月3日 23時) (レス) id: 8ead2b98e6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - いえいえ！毎日の日課にします！ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 3c862a1cac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年2月27日 0時
