四人の歌い手は鬼を狩る

断線事故 ページ35

うらた視点



　鎹鴉が言う場所に走って行ったら、列車が派手に脱線事故してた。



　派手柱…じゃない。



　音柱の口癖が写ってる気がするけど、気にせず肉の塊となって居る列車の中に入ろうとして、足を止める。




坂「うらさん、どう…。」



　坂田が無言で刀を抜いて、俺も刀を抜いて空を見上げる。



　威圧が凄い。



　柱達の存在感とは違う。



　那田蜘蛛山の下弦の陸の威圧が、10歳の子供のように思えて来るほど、今こっちに向かって来る威圧は違った。



や「きゅう…。」



　やまだが震えて居て、此処から居たらやまだが危ない気がして、地面に下ろしてやまだの頭を撫でる。




う「此処に居ろよ、危ないから出て来たらダメだぞ。」



や「きゅう…。」



　やまだが地面にちょこんと座って、心配そうに見上げて来て頭を撫でる。



　…どれだけ生意気でも、やまだには死んで欲しく無いからな。



坂「うらさん、やまだと話すのはええんやけど、もうすぐそ…。」



ｽﾞﾄﾞﾝｯ



　坂田の言葉は、生き物が落下して来たような音では無く、空から鉄の塊でも降って来た様な音に掻き消された。



　…やばすぎだろ。



　鳥肌が凄くて、さっきの焼き鳥を思い出すが、自分は食べられたく無い。



　前の方で始まった戦闘音を聞きながら、刀を握りしめる。



う「坂田、行くぞ。」



坂「任せろ！」



　刀を持って不敵に笑う坂田が頼もしく感じて、坂田が成長した事が嬉しくてジーンとくる。



　坂田が今程頼もしく感じたのは初めてで、物凄く安心する。



　死ぬ時は一人かもしれないが、少なくとも今は、隣に坂田が居てくれる。



う「…よし。」



　気合が入って坂田と一緒にその場から走る。



　煉獄さんが負けるわけ無いけど、見てるだけは嫌だ。



　やるしか無いんだよ。

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