2人で "Crown Rain" (ページ7)

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油断大敵ページ7

本屋に着いた時には、既に売り切れていた。

　この前の倍の量があるって聞いていたが、その本全て売り切れたらしい。

　…あ～…、やっぱりレン何て放っておけば良かった。…いや、遅刻したのは俺のせいだから、レンを恨むのは間違いか。

　落胆するものの、やはり遅刻はダメ、と言う事を学び、次からは気をつけようと思う。

　気を落とすものの、本屋に来たついでに、別の本も買っておく。

　…そろそろ部屋の本を整頓しないと駄目だけど…。

　アイドルを辞めてからというもの、本にハマり、今では部屋が本だらけ。

　…母さんにそろそろ怒られそう。

　…捨てたく無いけど売りたく無いし…。

「あれぇ？ユウキじゃん！久しぶりー！」

　急に大声で呼ばれて、周りの人達が一斉に視線を向ける。

「ユキちゃんは元気？お姉ちゃんっ子のユウキ～！」

　1人の人物は、周りを気にせずに歩いて来て、俺の肩に手を乗せる。

『わぁ、お久しぶりですね。…誰でしたっけ？』

　ワザと煽るように言って、俺は本を戻してそのまま移動する。

「とりあえず場所を…。」

　まだ騒ぐ奴を見て笑う。

『騒ぎに来たのなら、メンバーとしろ。』

「え～？いいじゃんか。ユウキ君と賭けをしようと思って来たのにぃ。」

『生憎、お前に構っている暇はない。』

　それだけ言い残し、さらに奥に移動しようとすると、急にメガネを後ろから取られた。

『！…おい、返せ。』

　メガネを取られ、俺はかなり焦る。

「ふぅん、やっぱり伊達メガネなんだ。」

『返せよ、お前には必要ないだろ。』

　なるべく小さな声で言うが、ユキ、という名前に、本屋にいるほとんどの人が反応する。

「やっぱり双子って大変だよね。…ねぇ、元twinsのユウキ君。」

　！…こいつ…！

　頭の血管が、何本か切れたような気がするが、気の所為ではないようだ。

「ほらほら、怒らない怒らない。ユウキの学校のイメージが壊れるんじゃない？」

　…余計に面倒になる…。

　学校の事を思い出し、一度深呼吸をする。

『…外に出るぞ。』

　持っていた本と、迷惑をかけてしまったから、多めに本を買って外に出る。

　…さっきからの目線が痛い。写真を撮られたり…。

　…面倒な事になった。

　…どんな時でも油断大敵だな。

　今日学んだこと二つを思い出し、嫌になって来た。

　前髪で顔を隠しながら溜息をつく。

　…もう少しだけ、大人しくしていたい。

　今までで多分、一番悲しくなった。