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アイドル ページ3

「おい、大丈夫か?」

 するはずのない声がして振り返ると、学校一イケメンで有名なレンがいた。

「朝から災難だな。これでも使えよ。」

 レンはそう言ってタオルを投げて来たが、俺は投げ返す。

『いい、他人のお前にそこまでしてもらう必要はない。』

 自分のリュックからタオルを取り出して拭く。

「あるんならいいが、風邪引くなよな。」

『心配ご無用。』

 レンを無視して歩き始めると、何故かついて来た。

「遅刻同士、一緒に行こうぜ。」

『何で俺が…。』

「いいじゃん、ついでついで。」

 レンはどうでもいいという様に、俺の横を歩く。

 …初めて話すのに、何でこいつはこんなに馴れ馴れしいんだ。

 今もアイドルの話を延々と話している。

「でさ、BF4のアルバムが…。」

『今日発売でしょ。』

 朝の宣伝を思い出して言うと、レンは身を乗り出して来た。

「まさか、お前…。」

 俺の顔を見て、固まるレン。

 …これは、ファンに間違えられたのか…。

『そういや、何でレンはそこまでアイドルが好きなんだ?』

 話を逸らす為に適当な事を聞くと、レンは身を乗り出して来た。

「アイドルになりたいからだ!」

 …あー…、聞いた俺が馬鹿だった。

「アイドルになりたい理由は…。」

「あっ!あれ、そうじゃない?」

 急に声が聞こえ、その声に俺は固まり、レンはそぅっと振り返り、変な声を小さく上げて俺の肩を掴んで揺さぶる。

「お、おい!BF4のフウカさんが…!」

『うるさい、会いたいのなら勝手に…!』

 会うのが面倒という事は分かりきっている。だから逃げる。

「ユウキー!何で無視するのよ!」

BF4→←最悪!


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作者名:ランタ | 作成日時:2020年11月22日 22時

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