CCG_37 ページ39
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「お願いします」
「はい…709円になります」
今日は一晩病室で過ごしてやろうと、売店で軽く買い物を済ませる。
目を覚ますのはまだ先になるだろうと聞いてはいるものの、やはりこのまま帰る気にはなれなかった。
目を離した隙にどこかへ行ってしまいそうで怖い。
もう俺の目の届かない場所で傷つく彼女を見たくはない。
こんな考えを持ってしまった俺はやばいだろうか。
やばいかもしれない、むしろ末期だ。
「んっ…?」
やっと病室に戻り、とりあえずおにぎりでも…と腰を下ろした矢先、妙な違和感。
そして違和感の正体が、Aの眠る棚の横に置かれた小さな花束であることに気がついた。
_______倉元か?いや…
倉元ならこんな真似はしないだろう。
だが見舞いにしては情報が早すぎる…誰だ?
理解できない現象に気味が悪くなってきた、その時。
ブーブー…
「っ…?!ビクゥ((」
マナーモードにしていたスマホの通知音に、真顔のまま盛大にびくつく。
このクソタイミングの悪いやつは誰だ、とスマホを取り出し画面を確認する、と…
[うしろです]
差出人不明、未登録の番号からのメッセージ。
悪趣味なイタズラなら許せないな…と多少苛立ちを感じながら振り返る、と。
「こんばんは。」
着崩された黒いシャツ、ばってんが目立つ赤いヘアピン。
華奢な身体と薄暗い部屋に映える白い肌。
見覚えのある、いるはずのないその人の姿に思わず目を見開いた。
「っ…、鈴屋准特等…」
「えへへ、来ちゃいました。」
仕事帰りだろうか、クインケを片手に部屋の隅に立つ美少年。
混乱したままの思考を落ち着けようと、なんとか口を開く。
「なぜ、あなたが…」
「本局に用があって寄り道してたら、たまたま平子班の皆さんに会ったですよ。
それでお姉ちゃ…西園寺一等のこと聞いて、なんだかじっとしてられなくて」
Aの方をちらと見てから、困ったように笑う。
部下に任せて飛び出してきちゃいました、と舌を出す仕草は、ミスを誤魔化す時のAと本当にそっくりだ。
「花も?」
「はい。
あ、平子さんのお電話、倉元くんから聞いちゃったです。」
「……、いいんですか?」
ふんわりと笑う鈴屋准特等の言葉に、不安がよぎった。
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ちーかま - 伊東倉元さんめっちゃ好きです。 (2018年10月29日 20時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 無花果さん» コメントありがとうございます! 丈さんの魅力もっと詰め込みたい..ほんとに素敵ですよね!更新、時間を作って頑張りたいと思います(TT)!! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます!丈さんカッコいいです泣更新頑張ってください! (2018年5月1日 2時) (レス) id: 6686156c61 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗(プロフ) - ギオさん» コメントありがとうございます!!とっても嬉しいです… そして伊東倉元好きなお方に出会えて感激です!最高に素晴らしいですよね!魅力をうまく描けるよう頑張ります!(*´∀`) (2018年4月22日 4時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
ギオ(プロフ) - めっちゃ面白いです!高評価とお気に入り失礼します〜伊藤倉元いいですよね!今んところ一番好きなんです! (2018年4月22日 3時) (携帯から) (レス) id: 6572e8ab81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2018年4月16日 4時