35回目 ページ35
その手に触れたいのに、触れてたくなくて
拒むように私はソファから立ち上がった
「ごめんなさい、寝ます」
彼の手が少し固まって、そのまま下に落ちていく
一瞬、悲しそうな顔をするがすぐに笑った
「そっか、ごめんな」
おやすみ。という彼の言葉を聞こえないふりをしてリビングを出た
芽衣やご両親を起こさないようにゆっくりと階段を上がっていく
扉を少しだけ開けて、中の様子を確認する
「(良かった…)」
芽衣は寝ているようで安心して胸を撫で下ろした
部屋の中に入って布団の中に入るが、熱はすっかり冷めてしまっていて冷たかった
ベッドの上で眠っている友人に背中を向けるようにして横になると
不意に目元に水が浮かび上がってきた
あれ…と思って目元に触れる
「(なんで、)」
無意識のうちに出てしまった涙に自分が驚いた
私は急いで拭った
ばか、ばかばかばか
時計の秒針を刻む音が響く部屋に、鼻をすする音が微かに混じった
_____
「A!おはよ!!」
朝は容赦なく来るもので、私は芽衣の声に瞼を開けた
おはよう。と返す
あまり寝られなかったがそれを悟られないように笑顔を貼った
「着替えて朝ごはん食べよ〜!!」
「うん」
時刻は朝の七時
普通に身支度すれば余裕で間に合う時間帯だ
私は日差しが差し込む窓を眺めながらため息をついた
気持ちが浮かないのは学校に行きたくないからではなく
「(真緒さんに会いたくないな…)」
そう思っていたけど___
「あれ?お兄ちゃんは?」
「真緒なら生徒会の仕事があるとかでもう出て行ったわよ?」
制服に着替えて芽衣と一緒にリビングへ向かうと、芽衣の両親しかいなかった
もう行っちゃったんだ。と罪悪感を感じつつも安心してしまうが
すぐに首を振った
「(だめだめ、いつ会っても普通に話さなきゃ)」
机に置きっぱなしになっていた、台本が視界に入った
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彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました・・・。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん!梶さん!尊い! (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜!!評価もありがとうございます!! (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて?」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ!! (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めご | 作成日時:2021年1月2日 21時