29回目 ページ29
その顔色は昼間のあの時と全く同じだった
あの時のように、今度は何を言うのかと体を強ばらせグッと構えた
「あのさ、昼間のこと…」
その目線は真っ直ぐ私を見つめている
早る心臓を抑えるように静かに息を呑んだ
「ぁ、の…」
全身に熱が集まって頭がくらくらする
目の奥がカッと熱くなり、脚が震えてしまう
どうしよう
どうしたら良いんだこれは
困惑していると、ピーーーっという音が後ろから聞こえる
ビクリと私と真緒さんは肩を跳ねさせた
空気の読めないのか読めるのかよく分からない電子レンジだな、と心の中で思うが正直そんな事をしている場合ではない
「とりあえず!牛乳温まったので!ほら!!」
ニコニコとその場を流すように電子レンジからマグカップを二個分取り出す
ほらほら、冷めちゃいますよ!と彼の腕を肘で小突きながら台所に置く
あ…
「(っっっぶなかったーーー…!!)」
後ろにいる彼にバレないように必死にうるさい心臓を抑えた
静かにため息を零しながら温めた牛乳にココアの粉を入れる
いや本当に心臓に悪いし、普通に不動脈が爆散するところだった
「(だって…)」
いくらなんでも…あの顔はずるいじゃないですか、真緒さん
ココアが入ったコップをスプーンでかき混ぜながら悶々と考える
あんな顔で
あんな距離で
あんな目で
見られてしまっては、意識するしかない
過去に異性と付き合った経験があるからこそ分かってしまう
けど、昼間に自分へ言い聞かせた言葉を思い出す
私は振り向き、後ろにいた彼にマグカップを一つ渡した
「どうぞ!」
「あ、あぁ…ありがとう」
もう何でも良い
この感情を知らないままにして、墓場まで持って行ってやれば良いんだ
それが今の私に出来ることなのだから
指先に伝わる熱が浸透していくのをボーッと感じた
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彩音(プロフ) - ひ〜〜めちゃくちゃどきどききゅんきゅんしました・・・。(語彙力なくてすみません) (2022年7月26日 14時) (レス) @page49 id: 25043c6aac (このIDを非表示/違反報告)
ことは - 真緒くん!梶さん!尊い! (2021年4月15日 18時) (レス) id: 1efa312b7c (このIDを非表示/違反報告)
めご(プロフ) - 空白猫さん» ありがとうございます(;_;)是非推してください〜!!評価もありがとうございます!! (2021年4月9日 23時) (レス) id: fec7c0a77e (このIDを非表示/違反報告)
空白猫 - 前半…「早くくっついて?」後半…「待ってこのカップル推せるわ」ってなりました…評価たくさん押しますね…神作だと思ったのでッ!! (2021年4月8日 11時) (レス) id: 10484fbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
愛葉 - 半分本気です…(笑) (2021年2月28日 20時) (レス) id: bb433bc26e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めご | 作成日時:2021年1月2日 21時