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「 また泣いてる 」
前屈みになって彼の目に浮かぶ大粒の涙を、親指の腹で拭いとる。
くすぐったそうに身をよじる姿に、私はギュッと心臓を鷲掴みにされた錯覚に襲われた。
深入りしないと決めたのに、彼の身に何があったんだろうと一瞬 考えてしまった。
「 おまえ 」
「 ん？ 」
「 名前、なんだっけ 」
「 諏訪 Aだよ 」
「 スワ 」と復唱した彼は、「 ありがとう」と呟いてから止めていた手を動かし始めた。
どういたしましてと微笑んだが、彼の笑顔を見ることは出来なかった。
「 ひとりで住んでるのか？ 」
「 うん。親は小さな頃に事故で。大切な幼なじみが、身寄りもなかった私にこうして住むところをあたえてくれたの 」
「 ・・・・簡単に出来ることじゃないと思うけど 」
「 まあ、お金持ちってやつだよね。たまたま親同士が昔から仲良かっただけで、私のうちはごく普通の家庭だったよ 」
軽く会話を交わしてから、私は空になった皿を持ってキッチンへと戻る。
レオくんは何かした方がいいのかと考えるようにチラチラとこちらを見ていたけど、それには笑って「 大丈夫だよ 」と声をかける。
「 私、ちょっと疲れちゃった。もう寝るけど、レオくんはどうする？ 」
「 おれも疲れた 」
「 じゃあ寝よう、おいで 」
もう慣れてしまったのか躊躇うことなく手を取って寝室へと連れていく。
一人で寝るには大きすぎるベッドに彼を座らせて、私も欠伸をしながら中へ入り込んだ。
「 えっ、あ、お、おれっ、別に床で 」
「 何言ってるの？ そんなことさせるわけないでしょ。ほら、目を閉じて。今くらい辛いこと全部 忘れて 」
「 辛いこと 」
向かい合うようにお互い横になって、ポンポンと一定のリズムで肩を優しく叩いてやる。
まるで彼を本当に小さな子供かのように扱ってしまっているが、今にも泣き出しそうな顔をされてしまったら、勝手に体が動いてしまった。
「 スワ 」
「 ん〜？ ごめんレオくん、私、もう眠た、くて 」
視界がどんどんぼやけていって、ここまでの疲れがどっと押し寄せてくるのが分かる。
瞼を閉じてしまえば一瞬で睡魔に襲われる私が最後に見たのは、やはり、泣きそうな君の顔だった。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
