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軽く首が振られる。家に置いてきたらしい。
電話番号は覚えているというので、私はそれを自分のスマホの画面に打ち込んでから、彼に手渡した。
「 いやだ、声 聞きたくない 」
「 けど 」
「 おまえが話して 」
「 …君の名前は？ 」
「 月永 レオ 」
月永 レオ、そう名乗った彼は、顔を少しだけ上げて、私にスマホを押し返した。
「 レオくん。親御さんになんて言えばいい？ 」
「 友達の家に泊まる 」
「 えっ、泊まってくの？ 」
「 ダメ？ 」
「 …今日だけだよ。明日になったらちゃんと帰らないとダメだからね 」
「 うん 」
やはりどうしても、小さな子供にしかみえない。
何があったのかは分からないけど、ひどく傷心しているようだし、一晩、ここで様子を見よう。
彼の親御さんはとても心配していたが、レオくんの声を少しだけ聞かせると、安心したのか「 宜しくお願いします 」と任されてしまった。
「 レオくん 」
「 … 」
声をかけるが返事はない。
「 お父さんが出てくれたよ。すごく心配してた 」
「 そう 」
「 …夜ご飯 作るけど、食べる？ お腹に入れられそう？ 」
頭が僅かに揺れたのを見てから、私は袖を捲ってキッチンの中へ入る。
冷蔵庫の中には常にある程度の食材が備蓄されているので、食事に困ることはない。
「 レオくん、グラタンでいい？ 見た感じ作れそうなのがそれくらいで 」
「 うん 」
「 そっか。じゃあ、待っててね 」
トントントン、と野菜を切りながら時折 リビングに目を向けるが、彼は微動だにしない。
結局 グラタンが完成するまで指一本 動かさなかった彼にそっと近づき、「 レオくん 」と名前を呼ぶ。
「 出来たよ。お腹空いたでしょ？ ご飯食べよう 」
顔を上げた彼の手を優しく引いてキッチンの椅子に座らせ、テーブルに出来たてのグラタンを置いた。
ゆらゆらと湯気があがるそれに、彼は反応をみせない。
「 熱いから火傷に気をつけて 」
彼の正面に腰掛けて、手を合わせる。
綺麗な指がスプーンを手に持ったのは、私のグラタンが半分に減ったころだった。
「 レオくん・・・？ 」
撥水仕様のテーブルクロスの上に、いくつもの水滴が落ちては連なっていく。
やがて大きな水溜りができて、僅かに嗚咽が漏れていくが、彼は食事の手を止めなかった。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
