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お店の前には、黒くて立派なバイクが停めてあった。
泉くんはグローブを投げて寄こし、エンジンをかけて、ポンポンと座席を叩く。
「 ここ座って。それからここに足かけて 」
「 バイク乗るの初めてだ… 」
「 あとこれ 」
流石にヘルメットまでは投げてよこされなかったけど、もちろん被り方なんて知らない私は戸惑ってしまった。
とりあえず頭につけてみたけど、それからどうすれば？
「 ちょっと大きいかな。ま、調整すれば何とかなるよねぇ 」
「 ごめん、ありがとう 」
顎下でたらりと垂れる革のベルトを調整してくれた泉くんは、最後にヘルメットとしての役割を果たしているか確認のために軽く頭に触れた。
「 あんたって、ごめんとかありがとうとかちゃんと言うよねぇ。いい子ちゃんって感じ 」
「 ありがと…？ 」
少し苦戦したがグローブもつけてから、バイクに跨った泉くんの後ろに私も同じように跨る。
グレーの髪が風でふわりと靡くのを見て、私はサッと顔が青ざめ、「 泉くん 」と名前を呼んだ。
「 なぁに？ やっぱり怖いとかいうわけ？ 」
「 泉くんっ、ヘルメットは、グローブは！ 」
「 は？ あんたが今つけてるでしょぉ 」
「 泉くんのは！ 」
「 …あんたが、今つけてるでしょぉ 」
まさか、このヘルメットも、グローブも泉くんのものだったなんて。
それなら返さなければいけないと、不慣れなくせにヘルメットを外そうとすると、「 馬鹿 」とその手を止められてしまった。
「 ま、ノーヘルはアウトだけどねぇ。今日くらい許してよ。流石に女の子に怪我させたくないし 」
「 でも 」
「 大丈夫。免許取ってから一年以上 経ってるし、二人乗りに問題は無いから 」
ハンドルに手がかかる。
ちゃんと掴まってと言われ、遠慮気味にブレザーをちょんと掴むと、「 あんた馬鹿なんじゃない？ 」と怒られた。
また、馬鹿って言った。
「 ゆうくんじゃないけど、俺に抱きつくこと許可してあげるから。ほら 」
「 わっ 」
手を泉くんの腰元引っ張られて、身体が背中にぴったりとくっつく。
「 じゃ、あんたの家の大体の場所教えて。早く帰らないと親御さんも心配するしねぇ 」
「 そう、だね 」
家に着いた泉くんが驚いたのは話さずとも分かるだろう。
けど、ここに一人で住んでるとは、言わなかった。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
