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でも今はそんなこと言ってられない。このまま動かす方が危ない。
「こんのすけ、すぐに手入れ部屋使えるようにしといてくれる？応急措置として少しだけ私の霊力を流してから向かうから」
「畏まりました！！」
ポンッ、と消えたこんのすけ。私は集中する。
大倶利伽羅の本体にそっと触れ、目を閉じて少しづつ、彼を傷つけないように霊力を流す。
お願いだから、折れないで。貴方を待ってる仲間がいる。ここに居たということをこんのすけが知らないということは、他の刀達も知らない可能性が高い。つまり、もう既に大倶利伽羅は折れてしまったと思ってる者が多いだろう。
「鶴丸国永や燭台切光忠、太鼓鐘貞宗が特に待ってるんじゃないかな」
”主、光忠が呼んでたぞ”
「っ、あっ、」
少し動揺して霊力が多く流れ混んでしまって焦ったが、その瞬間ぶわっ、と桜が舞って彼が顕現した。
「……あんたは」
「新しく任命された審神者です。手入れ、ちゃんとしないと。手入れ部屋まで着いてきてくれますか？」
「もう充分だろう」
「でも、手入れ部屋できちんとした方が……」
「あんたの霊力ですっかり治った。手入れする所がない」
「……じゃあ説明して貰えますか、どうしてこんなところに？」
「前の審神者がここに閉じ込めたんだ。他の奴らからは見えない仕掛けを使ってな。一期一振が閉じ込められた理由は単純に邪魔だったんだろうな。短刀を無理に出陣させる度に辞めさせようとしていたから。俺と堀川国広は……分からないが、やつの癪に触ったんだろう」
なるほど、一期一振は自分のやることに関して口を出してくるから邪魔で、でもレアだから折るのも刀解するのも惜しい。だから顕現を解いて保管という形でここに置いているわけか。
それなら、少しでも早く彼を顕現させて、弟たちの元へ行ってもらうのが良い。
彼の本体に触れ、また霊力を流し込む。顕現は難しい事じゃない。少し、霊力を渡すだけだから。
さっきの大倶利伽羅と同じようにぶわっ、と桜が舞って彼が顕現する。驚いた様子で、私と大倶利伽羅を交互に見ている。
「新しく任命された審神者です。話は後でしましょう。まずは弟たちの元へ行ってはいかがです？」
「っ、！」
私がそういえば走って倉庫から出ていった。あとは……
「堀川国広……」
彼の破片を丁寧に拾って、近くにあった布に包む。
「どうする気だ？」
「さぁ？」
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作者名：さき | 作成日時：2022年4月11日 20時
