85話 妖怪神の御心に ページ45
十四松side
天藍「狐優紀様…」
ト「ふっ……くっ……うぁ」
チ「羽実果ちゃん…」
お「っ……」
誰もいない舞台の上、魚の鱗と紅白の髪飾りが残された舞台の上。
ついさっきまでそこにあった二人の姿はもうどこにも無い。
トッティは声が漏れるほどしゃくりあげて泣いてるし、おそ松兄さんはずっと下唇をかんで手を握りしめてる。
今日家に帰っても二人の笑顔を見ることはもうできない。
存在がその場から消えてしまった二人。
天藍「妖怪神様……」
妖怪神「天藍か…すまなかったな…お主の主も友人もわしが奪ってしまった」
悲しげにそういう妖怪神。
表情が父さんに似ている。
本当はきっと凄く優しいんだろう。
だからすまないって言ったんだ。
正直二人がいなくなってしまったのは悲しいけど、妖怪神を責めるだけのはなんか嫌だった。
天藍「わかってますよ…妖怪神様が最後の最後まで悩んでいらっしゃったこと」
二人を転生させるのを?
天藍「やむを得ない結果だったんですよね」
そっか…妖界のトップだから、二人だけを贔屓することなんてできなくて…。
カ「一松?」
一「だからって永久追放する必要はなかったんじゃないの…二人が生まれ変わっても無事に生きられるかはわからない」
一松兄さんはそういうと踵を返して元来た道を戻って行ってしまった。
それはここにいる人達みんながわかっていた事だ。
二人が生まれ変わってもどうなるかわからない。
何が起こるか分からない……。
それを考えると不安になって、その場にいた僕達は妖怪神を見つめた。
妖怪神「……どうなるかは、わしにもわからんが、妖界を永久追放したことによって人界での転生は間違いないだろう…お主らがもし二人に出会えたら、その時は……」
“仲良くしてやってくれ”
妖怪神はそう言うとふっと笑った。
その顔はどこか優しげで、僕達はその顔を見た瞬間、その場で気を失った。
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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年7月16日 20時