わ ページ15
俺自身は自分が優れた容姿であるとかは一切思っていなかったのだが、どうやら鬼になった俺は容姿が──まあまあ──優れているらしい。
堕「ただ、その髪色が気に食わないわね。薄紫色、まるで藤の花みたいじゃない。気味が悪いわ。」
『どうして藤の花が嫌いなんです?』
妓「お前知らねえのかあ?鬼は日光と、藤の花と、日輪刀に弱いんだあ。
特に日光に当たったり、日輪刀で頸を切られちまったら、不死身の鬼共でも死んじまうんだよお。」
『なるほど、勉強になります。』
変なやつだなあ、と呟きながら、妓夫太郎さんは頬を掻いていた。
鬼にも弱点があったんだ。
初めて知った。
日輪刀とはどのようなものなのだろう。
そもそも帯刀が禁じられた世の中で、刀を所持している人が何人いるのか。
そしてその上、日輪刀と言う特別な刀でないといけないとなれば、まあ、俺が日輪刀で死ぬことは無いだろう、遭遇する機会がまず無さそうだし。ここから出られないし。
あっちが出向いてくれない限り、俺は日輪刀を拝むことは出来なさそうだ。
『少し気になったのですが、鬼の皆さんは頸を守ったりしないのですか?
今まであった鬼の全員が丸見えな気がして。』
その発言がかなり面白かったのか、2人は爆笑した。
俺は何か見当違いなことを言っただろうか。
鬼は、素手でも頸をねじ切れるのだ。
鬼の力は凄まじい、といっても刀という切る専門の道具を使った方が随分と頸は取りやすくなるに決まっている。
堕「アンタ、本当に何も知らないのね!良いわ、教えてあげる。
十二鬼月、って言ってね、鬼の中でも特に強い、あのお方選りすぐりの鬼のことをそう呼ぶの。
ほら、見てみなさい、私の目、文字が書いてあるでしょ…。読める?」
『上弦ノ…陸…?』
堕「そう、十二鬼月の鬼にはねぇ、目に数字が刻まれてるのよ。
上弦は上の六位の、下弦は下の六位の鬼を表してるの。
あ、でも下弦の鬼とアタシたちを一緒にしないでね、あんなのとは格が違うんだから。」
フフン、と鼻を鳴らす堕姫さんに、思わず拍手を送った。
あまり頭が強くなさそうだと思っていたので、思ったより説明がうまかったためだ。
妓夫太郎さんも同じように思ったのか、やるじゃねえか、と堕姫さんの頭を撫でていた。
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串(プロフ) - 罷免さん» はじめまして、コメントありがとうございます。どツボにハマって頂けましたか…!正直癖の強い作品だと思っていたので、罷免さんを含め多くの方に評価して頂いている事実に毎度驚愕しております…。これからもちゃんと更新するので、作品共々よろしくお願いします! (2020年2月29日 2時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
罷免 - どツボです…更新ありがとうございます!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - はじめまして、コメントありがとうございます。楽しんでもらえるよう、予測できない展開にしようとこんがらがり気味ですが、面白いと言って頂けて嬉しいです!無計画なので変な点もあると思いますが、是非最後までお付き合いください。これからもよろしくお願いします! (2020年2月27日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
アクトレモン(プロフ) - とてもこの作品が大好きです!!今まで見たことがない展開などとても面白いです!更新頑張ってください (2020年2月27日 11時) (レス) id: 4bdd481c8a (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - ウルさん» はじめまして、コメントありがとうございます!会話文だけの夢小説が苦手だったので、情景や心情描写を出来るだけ挟むようにしていたのですが…、まさか読者様の妄想の糧になっていたとは思いませんでした笑 応援とても嬉しいです、これからもよろしくお願いします! (2020年2月22日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:串 | 作成日時:2020年2月15日 20時