を ページ14
妓夫太郎さん優しくて泣いた。
何処から出したのかはわからないが、とりあえずありがたく受け取って袖を通す。
妓夫と名前に入っているから、生前は遊郭などで働いていたのかもしれないが、
『…これ、凄く高そうですけど、……女物…です…？』
妓「だから間に合わせっつっただろうがあ。文句があるなら他のやつにでも頼め。
俺は梅が食えないっていうから着させただけだからよお。」
だそうだ──梅、とは生前の名前だろうか、まあ兄弟であるようだし、きっとそうなのだろう──。
花魁用の服なのか、凄く煌びやかで上質な生地が使われていた。
その分ずっしりと重く、着ている身としては疲れる。
堕「まあ、これなら食べれなくはないわ。」
ズンズンと俺に近づき、品定めをするようにつま先から頭頂までを舐めるように見ると、何かを認めて俺の手を取った。
はぁ…、こんな美人と話すなら、もっとイカした服を着たかったものだが…、仕方ない。
『俺も、こんな美人な人に食べてもらうなんて、思ってもみませんでした。』
言葉だけでも、気取ってみた。
あら、アンタわかってるじゃない、そう言って堕姫さんは俺の腕を引き抜く。
いってぇ……、最近声を出すのを我慢することができるようになった。
自分でもこの順応性の高さに驚いているが、きっと鬼であることも関係しているのだと思われる。
絶対に元に戻るという安心感、正直コレに尽きる。
あとは唯の慣れ。
堕「やっぱり稀血は美味いわね！お兄ちゃんも食べてみなよ！！」
妓「ああ…、おい、足、もらうぞ。」
妓夫太郎さんはそう言って、俺から丁寧に足をとって口に運んだ。
妓「…まあ、確かにうめえなあ、久しぶりの稀血は。」
妓夫太郎さんは意外と几帳面な部類なのだろうか、堕姫さんよりも食べ方が綺麗だったり、──ありがたいことに──俺への配慮がある。
あと、多分兄貴属性。人に頼られることが好きそうな鬼だ。
堕「そういえば、アンタの服、どうしたのよ。元々は服着てたんでしょ？」
堕姫さんが俺の二の腕に口をつけながら言う。ちょっとくすぐったいのを我慢して、昨晩のことを話すと、
「はぁ？！許せないあの不細工。あんな気持ち悪いくせにまあまあ綺麗なAに手を出すなんて！」
ブチ切れてました。
妓夫太郎さんは逆に美しい人が好きではないのか、
「そんなんはどうでもいいが、服着てねえと梅が食えねえとなるとそれは許せねえなあ。」
と言っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
串(プロフ) - 罷免さん» はじめまして、コメントありがとうございます。どツボにハマって頂けましたか…！正直癖の強い作品だと思っていたので、罷免さんを含め多くの方に評価して頂いている事実に毎度驚愕しております…。これからもちゃんと更新するので、作品共々よろしくお願いします！ (2020年2月29日 2時) (
レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
罷免 - どツボです…更新ありがとうございます！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - はじめまして、コメントありがとうございます。楽しんでもらえるよう、予測できない展開にしようとこんがらがり気味ですが、面白いと言って頂けて嬉しいです！無計画なので変な点もあると思いますが、是非最後までお付き合いください。これからもよろしくお願いします！ (2020年2月27日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
アクトレモン(プロフ) - とてもこの作品が大好きです！！今まで見たことがない展開などとても面白いです！更新頑張ってください (2020年2月27日 11時) (レス) id: 4bdd481c8a (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - ウルさん» はじめまして、コメントありがとうございます！会話文だけの夢小説が苦手だったので、情景や心情描写を出来るだけ挟むようにしていたのですが…、まさか読者様の妄想の糧になっていたとは思いませんでした笑 応援とても嬉しいです、これからもよろしくお願いします！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：串 | 作成日時：2020年2月15日 20時
