きみを好きになって～S・O～２ (ページ8)

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マナーモードのアラームで浅い眠りから覚めて、そっと寝室のドアを開けると智くんはすでに仕事の準備の真っ最中だった。

自分の声を録音しているらしく、音をたてないようにリビングに入る。

「おはよ、早いね。」

彼の目の前で気づかれないようになんて無理な話で、集中していた智くんを中断させてしまった。

「・・・おはようございます。
邪魔しちゃってごめんなさい。」

「・・・泊まってって頼んだのおいらじゃん。
気にしないの！
・・・それよりさ、その敬語何とかなんない？
Aと距離があるみたいで嫌なんだよ。」

夕べの彼とは違って今まで通りの智くんだからかな？

今までの癖で考えずに喋っていたみたい。

「もうおいらの彼女なんだからさ、対等でいよ。」

そんなこと、面と向かって言われると恥ずかしくて顔が赤くなるよ。

「・・・わかった。
何時に出るの？
朝食べるでしょ？」

「ん、Aと一緒に食べるよ。
・・・迎えは８時だったかな。」

「じゃぁ、用意するね。」

一緒に朝食を食べて智くんを送り出す。

智くんはあのマフラーが気に入ったのか、しっかり巻いてある。

「これ、Aの代わり。
あったかくなるまで貸しといて。」

「あ、さ・・・としくん。
私、後片付けをしたら帰るから。」

智くんとつまりながらも呼ばれた名前に、嬉しそうに笑って

「えー、つまんねぇの。
また来て作ってくれる？」

「週末なら・・・。」

「ん、じゃあ行ってくる。」

「いってらっしゃい。
仕事頑張って。」

智くんに腕を引っ張られて、いつかのように抱きしめられる。

「んふふ、充電。」

この前と違うのは、されるがままだった私が智くんを抱きしめたこと。

きっと目を見張ってるんだろうなって想像する。

智くんの腕の力が強くなったから・・・。

そして身体を離した智くんの唇が降りてきた。