やさしい桜 ページ4
その日の朝。
いつも通り起床し、いつも通り父やコンスタンティヌス12世の世話を済ませた星見Aは一抹の不安を抱えながらESに出社した。
その不安の種というのも英智が新しく作ったという新ユニットである。
不安なのはまた名前と顔を覚えられる気がしないから？
違う。
英智の期待に応えられる自信がないから？
それも違う。
その新ユニット──ALKALOIDというらしい──のメンバーの名前を聞いたときから何だか嫌な予感がして仕方がないのだ。そういうときは決まってろくな事がない。
『……早めに行って書類整理でもしようかな』
会員証を提示し、社内に入るとちょうど降りてきたエレベーターに誰かが乗り込んだところだった。
『ちょっと待って！扉閉めないで！』
「えっ」
先客とばちりと目が合う。
良かった、間に合った。そう思った瞬間、先客の姿がみるみる細くなる。
────先客が閉ボタンを連打しているのだと遅れて理解した。
『ちょっと待ってよ今目合いましたよね！？！？』
「うわッ！？Elevatorの扉にものを挟むのは故障に繋がるのでお控えください！！」
『貴方はエレベーターの取り扱い説明書読む前に道徳の教科書読み込んできたらどうです！！』
トートバッグをその隙間に投げ込み、無理やり停止させたAは、先客こと朱桜司に怒鳴らんばかりの勢いで言う。
今までAの司への印象は“優しくてなんかすごい人”だったが改める必要があるかもしれない。
「ゴホン……いや、これは私に非がありますね。気が動転していたようです。申し訳ありません」
こちらも一旦冷静になって見れば、なんだか申し訳なくなるほどしゅんとした様子で司は謝罪する。
心做しか顔色も相当悪いようだ。
『あの、顔色が良くないです。大丈夫ですか？』
「え？ああ、これはその……かなり悪い夢を見てしまって」
悪い夢。
それはAにとって身近なものだ。
それを見た後の気分の落ち込みようがどれほどのことかAはよく知っていた。
『あの、あんまり体調が優れないようでしたら私からニューディの方へ伝えておきますよ』
「いや、大丈夫です！すみません」
嘘だ、と言いかけてやめた。星見の後継として現場で働く人達の矜恃がどれほどのものか、Aはこれまで嫌というほど見てきたから。
それでも少しでも何か力になりたい、という気持ちが顔に出ていたのだろうか、司は少し笑って言った。
「それでは、ひとつだけお願いをきいて頂けますか？」
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紅鮭(プロフ) - 蘆花さん» 温かいお言葉ありがとうございます！！蘆花さんの琴線に触れたようで何よりです……！石が尽き次第戻ってくるので気長にお待ちください🫶🏻 (3月29日 9時) (
レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - うわぁぁぁぁ…レオくん…レオくんッッッッ！！！もー…レオくん…としか言えない…！素晴らしすぎです！更新、ほどほどに待ってます！ (3月28日 21時) (レス) @page35 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです！頑張ります！ (3月8日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - すっごい面白くて引き込まれました…！更新頑張ってください…！ (3月7日 18時) (レス) id: af9a9b1d28 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - ペネロッペさん» わーっ！コメントありがとうございます！！ペネロッペさんの言葉を励みに頑張ります👊🏻❤️🔥 (1月3日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
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