しゃちょ、に拾われた少女の溺愛日々〜虹色少女は異能者ではない〜 第三章

百九話 ページ9

〜福沢〜



そして、迎えた当日


意外にも多くが参加していた



この催しは父親が娘や息子に良い格好……見直してもらうためのイベントでもある


合図と共に我が子を抱き上げ一斉に走り出す


スタートラインに取り残されたのは私達だけ


福沢｢A。抱っこするか？｣


｢手繋ぐ｣


福沢｢そうか｣


乱歩｢社長。早く行きなよ。負けちゃうよ｣


福沢｢構わん。今日はAに楽しんでもらうことが第一。勝敗など二の次｣


乱歩｢そう。じゃあ先に言っとく。おめでとう｣


スタンプが置いてあるのは本屋、肉屋、魚屋、花屋、スーパーの五箇所


どんなクイズが用意されているかは分からないが、解くのはあくまでも子供

そんなに難しくはないだろう



最初は近場の本屋から


列は出来ていなく、恐らくゴールである小学校に最も近い本屋を最後に選んでいる


本屋｢シンデレラから問題です。シンデレラはどんな靴を履いてお城の舞踏会に行ったでしょうか。一、長靴 二、ガラスの靴 三、ハイヒール｣


なるほど。年齢に応じて出題されるため、公平だ


｢しゃちょ。シンデレラって何？｣


絵本は読むが童話は読んだことがない故に、Aには解けない


店員は気を遣って他の問題に変えてくれようとするが、用意されている問題となった童話をすべて知らない


順番を譲り、シンデレラの絵本を買い、舞踏会に行くシーンのページから読み始める


｢これ、何て読むの？｣


福沢｢ガラスの靴｣


｢ガラス……？答え、分かった｣


少ない列に並び直して順番が来ると｢ガラスの靴！｣と元気よく答えた


ポカンとしていた店員はすぐに｢正解｣と笑顔になった


台紙には兎のスタンプが押される


｢次はどこ？｣


福沢｢魚屋と肉屋が隣り同士になっている。そこにしよう｣


クイズの系統は大方理解はした


これなら和田医師が一着になるのも容易だろう


魚店主｢この絵の中からマグロとタイを選んでくれるかな｣


様々な魚が描かれているが、どれも上手くて分かりやすい


｢しゃちょ｣


催しの目的(コンセプト)は子供に良いとこを見せること


つまり、クイズが解けない子供に知恵を授けることることが可能



Aの手を取り、マグロとタイを差した



ここのスタンプはイルカ



隣りの肉屋のクイズは、鶏肉の鶏の種類を三択で選ぶ


一、鶏 二、フラメンコ 三、鳩


もっとマシな選択肢があっただろうに



それでもAは解らず、私に助けを求める

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