百五話 ページ5
〜福沢〜
森「Aちゃん!大丈夫だったかい!?」
ジェラルド「A!無事か!?」
Aの心配をしてくれるのは有難いが、こうも社に足を踏み入れられると、些か妙な気分ではある
「与謝野が治してくれたから大丈夫」
森「なら良かった」
「ジェラート」
ジェラルド「どうした」
「ご、ごめ、ん、なさい……。服、ダメにして」
ジェラルド「気にするな。またすぐ作ってやる」
「あ、あり…ありがと」
ずっと謝ってばかりだったAには感謝の言葉は難しすぎる
国木田「A!!待たせたな。ん?かなり人が増えたな」
「パンだ。手、洗ってくるね」
朝食からさほど時間は経っていない
一枚どころか一口で終わりそうだな
安吾「Aさんをあんな目に遭わせた犯人は全員、僕が殺す。いや、犯人だけじゃない。その家族も友人も、彼らに関わった人間は皆殺しだ」
種田「お前が全然休めてないことだけはよく分かった」
安吾「僕は至って正常ですが」
種田「いや、それで正常ならお前はただのサイコパスだ」
乱歩「無理じゃない?犯人殺すとか」
安吾「犯人は既に捕まっています。殺すことなんて訳ない」
乱歩「無理無理。だって犯人、もう死んでるし」
広げられたのは朝刊
一面には犯人全員が何者かに殺され、容疑者は子供を誘拐された親ではないかと推測されている
疑問視すべきは、その殺し方
頭から体に硫酸をかけて溶かしている
殴るなり刺すなり、もっと楽な殺害方法はあったはず
そもそも、拘留されている連中を殺すことなど一般市民には不可能
乱歩「これ、異能者……いや、おひげのおじちゃんの仕業だね。硫酸で溶かされたって発表したのは、限りなくそれに近い殺され方をして、マスコミには発表出来ない死因だから」
種田「誰なんだ。その、おひげのおじちゃんとやらは」
紗奈衣「臆病者で小心者。天使に触れることさえ出来ない、自らを穢れの存在だと思い込んでる人ですよ」
谷崎「なっ……いつの間に!?」
紗奈衣「そんな驚かないでいいですよ。私、昔からすっごく影が薄くて、幽霊ちゃんって呼ばれてましたから」
不揃いに切られた短髪の女性は、目を細め笑いながら一直線に私の元に歩み寄って来た
紗奈衣「招待状をお持ちしました。福沢諭吉殿」
福沢「招待状だと?」
紗奈衣「おひげのおじちゃんから、と言えば来て頂けますか」
その辺の店に売っていそうな封を差し出した
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時