しゃちょ、に拾われた少女の溺愛日々〜虹色少女は異能者ではない〜第三章 (ページ19)

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百十九話ページ19

〜太宰〜

福沢｢では森医師。ご説明願おう｣

Aちゃんには十年早い店を出て、甘味処に移動した

和気あいあいとした雰囲気には似合わず、森さんへの尋問が始まる

ちなみにAちゃんは社長の膝の上で抱きしめられて動けない

森｢説明も何も、先程言ったではありませんか。福沢殿の好きなメイド服を買うためですよ｣

社長がメイド服好きだったということが驚きだ

私の心を読んだ社長は軽く睨んでくる

本気で思ったわけじゃない。むしろ、声に出さなかった時点で、冗談だと分かってくれてもいいのだが

福沢｢A。なぜあの服を買いに行ったのだ？｣

｢しゃちょが、好きだから｣

見当違いなことに、ちょっとドヤってるAちゃんが尊い

棒漫画の四巻のページを見せてくれるも、これのどこで社長がメイド服を好きだと認識したのか教えて欲しい

社長が真剣に漫画を読む機会はこの先拝めない

流石の乱歩さんでもこの謎は解けるかどうか

｢しゃちょ。これ着たら嬉しい？｣

うわぁ、その質問はまた……

メイド服は好きじゃなくてもAちゃんが着たら見たい

でも、見たいと言えばメイド服が好きだと誤解される

究極の二択

福沢｢Aが私のために着てくれるのであれば見たい｣

言い切った。メンタル最強だなぁ

｢鏡花より、見たい？｣

福沢｢Aにしか興味がない｣

社長！！それでは、どこぞのマフィアのボスと同じです！！

｢？？つまり……好き？｣

福沢｢ああ。A限定でな｣

難しいことを言っているわけではないのにAちゃんには理解が出来ていない

｢猫のパジャマと、どっちが好き｣

福沢｢猫だ｣

即決

｢分かった。猫でいる｣

そこは理解するんだ

｢猫でいるから、しゃちょはAのこと……捨てない？｣

一年かけて教えてきた常識が崩れるのは簡単だった

研ぎ澄まされた静かな殺気は息苦しさを覚える

傷は完璧に治されたが、見えない傷は今もこうしてAちゃんを苦しめる

福沢｢猫でなくともAを捨てるつもりはない｣

どこまで理解したのか、嬉しそうに笑みを浮かべた

天使の微笑み(エンジェルスマイル)は心が洗われる

胸がキューンってなるよね

この可愛さが分からないなんて、きっとAちゃんの両親の目は節穴だったのだろう

可愛がる以外の選択肢など、ないはずなのに

彼らがバカなおかけで、こうしてAちゃんと会えたわけだし、バカに感謝するのも悪くない