無愛想な。【沖田総悟】 (ページ21)

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無愛想。19 ページ21

血で満たされた戦場。

兄さんを見上げる晋介と小太郎。

『ありがとう』

声は聞こえなかった。

だけどはっきりと聞こえた。

兄さんの初めて見せた涙。

私はーーー

・

「ｯ、、！！」

何かから目が覚めるように飛び起きる。
息が上がり呼吸が乱れている。

「ゆ、め、、」

あたりを見渡すと真っ暗だった。
おそらく朝の4時ってところだろう。
ありがた迷惑だが完全に目が覚めてしまったものは仕方がないのでとりあえず落ち着かせるために水を取りに食堂へと向かう。

誰もいない食堂で水を飲み、部屋に戻るため足を進める。
みんなまだ寝ているため廊下は至極静かで、どこか寂しさを覚える。

ふと足を止め空を見上げると、とても美しい形とは言えない月が淡く光っていた。

目が覚めてしまっては布団に戻ったところで眠りにつけそうもないので縁側に腰を下ろす。

「嫌な夢、見たな」

過去の夢ならこんな残酷な一瞬の夢じゃなくて、
みんなと過ごした楽しくて温かい夢が良かった。
きっとそれもそれで泣いちゃうんだろうなとは思うけど。

「静かだなぁ」

みんなここにいるはずなのに、いつも賑やかな屯所が静かなせいなのか、孤独に感じる。

兄さんと離れてここに来るまでは1人でも何も感じなかったのにな。

今では賑やかな環境にずっと身を置いてるためかどこか物寂しい。

それにこんな静かなところに1人でいると余計なことまで思い出してしまう。