少女Aの日常 in立海 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:95,927 hit

第８話　　お前はお呼びでない。ページ9

可愛い可愛い二人の兄弟の兄貴は、なんとテニス部の丸井ブン太だった。

「お前、工藤Aだよな。マネージャー候補の」

「違うから。むしろ知り合いでもないから」

思わず必死になってそう言うと、彼はキョトンとして笑った。
なんか、弟たちと笑う顔そっくりだな。
童顔ってことか。可哀想に。

「確かに、幸村君達が苦労すんのわかるわ。お前面白いな」

「……だから何がだ」

何で皆そう言うんだ。
一体どこら辺が面白いんだよ。
丸井君は一番下の弟君を抱きかかえ、爽やかに笑って言った。

「俺、丸井ブン太。弟達が世話んなった。サンキュ」

「……あ、いえいえ」

意外にちゃんとしたお兄ちゃんで、少しだけ驚いた。
丸井君は特に勧誘もしてこなくて、そのまま弟達と帰ろうとした。
この人わりと好きかも。
勿論友達にはならないけど。
ところが、弟達が彼の行動を阻止した。

「俺、もっとお姉ちゃんといっしょにいたい！」

「俺も！」

「「……え？」」

おいおい何を言い出すんだ少年よ。
とか思ってみるけど、そのキラキラした瞳にかてるわけがなく。

「…じゃあウチおいでよ。…ご飯ご馳走してあげる」

「「やったー!!」」

「いや、それはいくらなんでも悪いだろぃ」

「…いいよ別に。…それに私一人暮らしだし、問題ない」

「一人暮らし!?」

目を大きく見開く丸井君。
ああ、高校生で一人暮らしは珍しいんだっけ。

「お前ん家、金持ちなんだな…」

「……兄が医者だからね」

その言葉に、丸井君は感心したように頷く。
そして申し訳なさそうに、弟君の手を離した。

「…じゃあ、頼んでいいか？」

「…ん。…７時半ぐらいに、ここに迎えに来て」

「わかった。お前ら、いい子にしてるんだぞ」

「「え？」」

「…え？」

丸井君が二人の頭をなでると、二人は不思議そうにした。
そのことに、丸井君が首を傾げる。
どうした弟君。

「「お兄ちゃんも行くんだよ！」」

「「……え？」」

いや、それは大変困るんですけど。