少女Aの日常 in立海 (ページ24)

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第２３話　　勘違いしないでね。ページ24

家に帰ると、ローが迎えてくれた。
珍しい。

「…ただいま」

「あァ。怪我は」

「あるわけないじゃん」

「ならいい」

あれ、一応心配してくれたのかな。いつものことなのに。
ああ、いつも何だかんだで心配してくれてたっけ。
…実は優しいんだよね。

部屋に入ると、何故か切原君がふてくされていた。
どうした。

「どうしたよ、切原君」

「……別に」

「…あ、お粥食べてくれたんだ」

「……」

スルーかい。
そう思ったら、切原君は別のことに文句をつけてきた。

「……何で行ったんだよ」

「え？」

「俺への同情とかなら、余計なお世話なんだよ！マジうぜぇ！」

「……」

「なんか言えよ！」

何を言うかと思えば。
なんかこの子、めちゃくちゃ必死に私への悪口探してないか？
仕方ない、本音をぶっちゃけてやろうじゃないか。

「…あのね、切原君」

「んだよ」

「勘違いしないでほしいんだけど。別に君のためじゃないからね」

「は？」

「むしろ、君がどうなろうと知ったこっちゃないし。私には全く関係ないし。さすがに人として、怪我人の看病ぐらいはするけどさ」

「！……」

「というかね、ぶっちゃけマジで関わらないでほしいんだわ。女子が怖いことぐらい、どんだけ馬鹿でもわかるでしょ。君の先輩とか超迷惑」

「……」

「あ、でも別に嫌いなわけじゃないよ。テニス部、いい人たちばっかりってのはわかってるし。切原君も含めて。あ、もちろん関わりたくはないけど」

ここまで言ってわかってくれなかったら、もう嫌われるだけだ。
切原君に嫌われたって、全くではないけど別に気にしない。
だって、私の人生を左右するわけじゃないし。
むしろ仲良くなった方が左右するわ。

切原君は俯いたまま。
すると、いきなりバッと顔をあげた。
あれ、なんか泣きそうなんだけど切原君。

「すいませんでした！」

「…え」

「俺、色々誤解してて…」

「…はぁ」

「ほんとに、すいませんでした！」

「……うん、わかったから」

土下座の勢いで頭を下げる切原君。
やめてくれ、なんか怖い。
すると彼は、子犬のような目を向けてきた。

「…な、何」

「俺、先輩と仲よくしたいッス」

「…はい？」

「そんで、マネージャーやってください！」

「……ねぇ、話聞いてた？」

とりあえず、その可愛い顔をやめようか。