dix-sept. ページ18
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- Fitzgerald side -
「…ったく、何でこんな目に……」
フィ「多くの女性を虜にしていたな。男性諸君から羨望の目で見られていたぞ」
ため息をついて、テラスに出るA。
まあ、何曲も踊り続けていれば疲れも出るだろう。
「だいたい、なんで僕がパーティーなんかに?」
フィ「今日の主催者が君に会いたがっていてね。仕方なくそう返事をする他なかったのだ」
「…じゃあ僕は利用されたってわけ?」
フィ「そうじゃないさ。A、君はあの場を一瞬で支配したのだよ」
「はっ、どうだか。」
Aを育てるにあたり、様々な知識だけでなく、礼儀作法やダンスの基本なども身に付けさせた。
そのことは非常によかったとは思う。
だがそれによりAの外での紳士ぶりを上げてしまったのは、それはそれで問題だったかもしれない。
…まさか、社交界でも人気を集めてしまうとは。
「…なあ、もう帰りたいんだけど」
フィ「まだ挨拶が済んでいないだろう?」
「それはそうだけど、…ああいう空間は本当に苦手なんだ」
心底困ったように眉を下げ、手にしていた酒を飲み干す。
フィ「A、あと三十分でいい」
「…十五分」
フィ「…わかった、そうしよう」
Aが頷いたのを確認して、中へと戻る。
一瞬にして囲まれるが、軽くあしらいながら主催者の元へと向かう。
フィ「…A、ご挨拶を」
「はじめまして。今日はこのような素晴らしいパーティーにお招きいただき感謝致します」
男『貴方がAさんでしたか。お目にかかれて光栄です』
「…僕をご存知なんですか?嬉しいです」
恭しく頭を下げ、穏やかな笑みを浮かべるA。
…相変わらず、外面はいい。
フィ「それでは我々は失礼します」
男『もう少しゆっくりしていかれては?』
「男性諸君に疎まれてしまいまして…今宵は失礼いたします」
屋敷から出た瞬間に、その綺麗な表情が一瞬にして不機嫌になる。
…だがそれはそれで、愛おしい。
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サングラス - 良かったです!!この作品読むのとても楽しいので嬉しいです!頑張ってください! (2016年10月21日 15時) (レス) id: d1c26ece08 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - やったあああああ!これからも更新、頑張ってください!! (2016年10月19日 23時) (レス) id: bed4eaded8 (このIDを非表示/違反報告)
Lan(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく拝見させて頂いているので、消さないで下さい。これからも楽しみにしてます。頑張って下さい。あ、返信いりませんよー (2016年10月19日 0時) (レス) id: 8a665e221e (このIDを非表示/違反報告)
こゑだ(プロフ) - 初コメです。これは自分が勝手に思っているだけですが、このサイトを利用している人はある程度性的知識が豊富だからフラグがどうとか言ってると思うんでフラグはいらないと思います。私もこの作品の更新を楽しみにしている内の1人なので消さずに頑張ってほしいです。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: e4866b2b81 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼致します。下の方が仰せられております通りだと思います。読者の私としてもフラグが必要な程の表現は無いかと思われます。最終的な判断は作者様となりますが私はこのまま更新を続けて頂けたらと考えております。お目汚し失礼致しました。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: 46877d2f51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年9月10日 8時