「好奇心」は自分の首を絞める〜Part13〜

七夕小話2 ページ5

暫くすれば会場が暗くなり、ナレーションが始める…


『今回の演目はね…天の川と七夕の話なんだ…』

「そうか…今日は七夕か…」

『うん…あなたと…初めて会った大切な日よ…』

「あ…」


修三は気付いてAを見るが、暗闇の中ではあまり見えない…
ぼんやりと彼女の横顔しか見えないが、不思議と微笑んでいるように見えた……


「もしかしてお前が今日いきなり来たのは、七夕で…俺と初めて会った日からか…？」

『…うん』


そう言うと修三はAの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた後、彼女の手を優しく握った。


『わわっ！何よいきなり…』


Aが驚いて彼の方を見ると、修三もまたこちらを見つめていて、少し心臓が跳ね上がる。


「お前に会えて良かった…」

『え…？』

「俺もようやく…普通の幸せを…温かい幸せを手に入れられたんだろうな…」

『修三…』

「お前は俺の娘みたいなもんだ…大切で…愛しい娘だ…」

『っ…！』


暗闇の中とはいえ、面と向かって言われ、Aの顔が真っ赤になる。
その顔を隠すようにAは彼の肩に額をくっ付けた。


『…ありがとう…アイリッシュパパ…』

「よせよ…修三って呼んでくれ…」


そう言って彼はAの頭を優しく撫でた……


「だが、七夕に出会ったからって、あの二人みてぇに年に一度しか会えないとかやめろよ？」

『う……』

「俺はそこまで待てる方じゃないからな…お前が会いに来ないなら、こっちから行ってやる。」


そう言って彼はクックックと楽しそうに笑った…


『ぜ、善処します…』

「あぁ…取り敢えず今日はずっと一緒だな…！」


そう言ってニカッと笑った修三にAも釣られてニカッと笑い返す。
その後、Aは彼の肩に頭を預けたままプラネタリウムを楽しんだ……





『ねぇ…パパ…』

「っ！…あぁ、なんだ？」

『…私がお嫁にいったら…泣いちゃう…？』

「んぁ？何言ってんだ？……行かせるわけにはいかないな…！」

『ぷっ！…ダメなんだ…！』

「当たり前だろ！可愛い娘をそこらの野郎には渡さん！」

『もう「だがな……お前が本気で愛したのなら、その時は応援するさ……」

『パパ……』

「ちゃーんと俺がチェックした後でな！」

『やっぱりそうくるのね！』


夜空では天の川を越えて、織姫と彦星が再開する……
そんな素敵な日に出会った事を忘れない……


『ねぇ…短冊に何をお願いする？』

「そうだな…お前の幸せを願っとくかな…」

『…バカ…』


〜fin〜

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