「好奇心」は自分の首を絞める〜Part13〜

異次元の狙撃手13 ページ32

理樹の足元に銃弾が飛んできた。
その弾はまるで逃さないと言わんばかりの起動に、理樹は飛んできた方を見る…
その弾は当然、先程凄腕の狙撃を見せた昴だった…


「質問の答えはまだ聞いてないよ…！」


理樹は遠くのビルを目を細めて眺めた。
見える筈ないのに、スコープ越しの彼の瞳…
あの翡翠色の瞳が見える気がした………


「理樹…前に話をしたけれど、あんたはAさんの弟なんだろ？」


以前あったルパンとコナンが共闘していた時、帰りの潜水艦で話した事を思い出す。
だが、理樹は何も言わずに振り返った…
金色の瞳で真っ直ぐコナンを見つめる。


「これはあくまでも俺自身の仮説だが…
あんたは姉さんに会いたかったが、死んだとされた手前、どう会っていいか分からなかった。
だから見守る事にした…そして今回、Aさんが負傷した…だからあんたは犯人を許せなかったが、俺達がいたから観戦するだけにした。違うか？」


……普通ならその仮説でも充分有り得るな…だが、そもそもの説が間違っているからなんとも言えんがな…


理樹が黙り込んだのを肯定と見たコナンは、理樹をジッと見つめた……


「まぁ、あんたはルパン三世の仲間みたいだったからな。泥棒やってちゃ、姉さんに会いずらいって言うのもあるかもしれないけどな。」

『さて…どうだろうねぇ…』


理樹は月を見上げて息を吐く…


『まぁ、ここまで仮説を立てた君に少しご褒美だ。』

「ご褒美…？」


コナンが立てた仮説は全く違うものだが、Aを怪しまれていてはキリがない…
だから、ここでその仮説を逆に利用してやろうと思った…


『君の言う通り、あの人は僕の姉さんだ…今回の事も君の言う通り、姉さんを傷付けた犯人「達」の様子を見ようと思ってね…』


理樹は目を細め、ジッとコナンを見る…
コナンはその瞳に息を飲んだ。彼女が傷付いたのは、自分を守る為でもあったから…彼から見れば、自分もまた姉が怪我した原因でもある…


「た、確かに…Aさんが怪我を負ったのは…俺を守る為でもあったから…」

『ま、姉さんは命に別状は無いし、犯人も無事捕まったからね。』

「じゃあ、何故あの時俺を助けた？Aさんに怪我を負わせてしまった俺を…何故…」

『「怪我を負わせてしまった」んじゃない。
「命に変えて守った」んだろ…？』


理樹の言葉にコナンはハッとした顔をする。


『姉さんが命に変えても守った君を…僕が見殺しにしろと？それこそ姉さんに申し訳ないね。』

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