「好奇心」は自分の首を絞める〜Part13〜

報告、連絡、相談は大事2 ページ14

やって来た客は桜を見て嬉しそうに笑う。


「旅行に行ってたんだって？」

『えぇ、海外に…』

「どうだった？」

『とても楽しかったですよ？』


その客とも話をしていると、また別の客が来店する。


「あ！桜ちゃん！」


客達は皆、桜を見ると嬉しそうにカウンター席に座って話し出す。
数時間後には客も増え、皆が桜に話しかける。


「今夜の主役は桜ちゃんだね。」

「皆様が私の事を待っていてくださって嬉しいです。」



ーーカランーー


「『いらっしゃいませ』」

『……あ』


その時来店を知らせる鈴が鳴る……
そこに現れたのは……


『ジンさん…！お久しぶりです。』

「……」


彼は桜を見ると何も言わずにカウンター席に座る。
様子がいつもと違う事に少し疑問を感じたが、客である手前聞く事はない……


「それじゃあ桜ちゃん、そろそろ上がっていいよ。」

『はい、ありがとうございます』


時間になり、後片付けをして帰る支度をする。
外へ出て家に向かって歩き始める。


『皆優しかったなぁ〜』


そんなことを呟きながら歩いていると、突然路地裏から凄い力で引っ張られた。


『きゃっ！！』


油断していた為簡単に引っ張られ、壁に両腕を固定される。

しまった！！油断したわ！！直ぐに反撃を……

逃げ出そうと顔を上げて目の前の相手を見る。


『……ジンさん！！？』


Aを捕らえたとはジンだった。
彼は彼女の顔を覗くようにジッと見つめる…

相手がジンだとちょっと厄介ね…そこらの人なら膝蹴りしたけど…

『あの…ジンさん？』

「忠告した筈だぞ？」

『え？』

「またこんな簡単に路地に引き込まれてちゃあなぁ？」

『あっ！』


ジンはAの両腕を頭上にまとめ、右手のみで固定した。
そして空いた左手でAの腰を撫でる……


「自己防衛がどれだけ大切か…その体に教えてやろうか？」

『ひっ！！』


殺気にも似た雰囲気にAが小さく悲鳴を上げる。
するとジンはAの腕を強引に引き歩き出した。

や、ヤバい！このままじゃ…！！

もしかしたらこれで人生が終わりかもしれないと焦り出した。
そうこうしてる間にジンはAを近くに停めていたポルシェ356Aに押し込む。
慌てて体を起こして車を出ようとドアに手を伸ばす…


「どこへ行く…」

『ひっ！』


いつの間か運転席にいたジンに問われ、Aの体は金縛りにあったかのように動けなくなった。
大人しくなったのを見届けたジンは自らハンドルを握り車を走らせた…

報告、連絡、相談は大事3→←報告、連絡、相談は大事

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す