満更でもない御召茶 ページ45
凛にピースを作って返すと結月が隣で呆れたように笑った。
「付き合えばいいのに」
いや、無理無理。と手を振る私に結月は糸師凛も満更でもないと思うけど、と凛に視線を移した。
満更でも、ない？そうなのか？凛はきっと鈍感で天然だから恋なんて分からないのだと思う。そう、私は最近よくそう考えるようになった。
だから、
「今は友達で充分幸せ。」
私がそう答えると結月は黙り込んでしまった。
それから少しして、凛が私達の所へ来た。
「すごく早かったね、凛。」
驚いたと私が言えば、Aも早かったなと褒められて嬉しさを隠すために下を向く。
「Aずっと糸師くんばっかみちゃってさ〜、自分のクラス応援しろっての！」
揶揄う様に言う結月に焦って横腹を突く。
「そ、そんなにずっと見てないから！」
「見てねぇのか」
「あ、いや、えぇと、」
うーん、と頭を抱える。もし福井さんならここで迷わず格好良かったとか言えるのだろうか。
私にはハードルが高すぎるけれど＿＿。
「格好良かったと、思います……。」
言ってしまった。
声は裏返ったし最後は聞こえないほど小さい声になってしまったけれど。
福井さんに負けては居られないという若干の対抗心からではあるけれど、かなり女の子らしい褒め方が出来てしまったのでは…。
凛に効くかは分からないけれど、と心の中でネガティブな私が顔を覗かせる。
隣で結月は何故かおぉ……と感嘆を漏らした。
「……Aもかっけぇよ」
私の頭にポンと手を置いて顔を隠した凛。
横を向いて晒された耳が赤く染まっている。
あ、あれ……？
なんだかその赤さが私にまで伝播したように顔に熱が集まるのがわかる。
＿＿＿糸師凛も満更でもないと思うけど
あれ……もしかして満更でも、ない？
私、少しだけ期待しても良い？
友達を卒業できる可能性があるの？
ぶわっと身体中に熱が回って、手で顔を仰いだ。
それからは私も凛も出る種目は無く、無駄に多く出場する結月の応援に徹していた。
なんだか気恥しいけれど、それはきっと隣に立つ凛も同じことで、
とてもムズムズするのに、心が満たされる様な、素敵な体育祭だった。
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
