この感情が今様 ページ46
「ねぇ、凛って、」
＿＿私の事を、女の子として意識している？
「……んだよ」
なんだか初めて会った日のやり取りを思い出し、口を閉ざす。そんな私に凛は不思議そうな顔を向けた。
「……いえ、えっと、その。借り物競争、どうして私を選んだの？」
体育祭終わりの帰り道、咄嗟にとは言え晴れたままの空には似合わないほど湿度の高い話題を持ち出してしまった自覚はある。
凛はいつもサッカー漬けになっているけれど、部活が無い日はこうして私と家まで並んで帰る。本当に偶にだけれど。
「言いたくねぇ」
別に良い答えを期待していた訳では無いのに、そっぽを向いた凛に心がズンと重くなったのを感じる。
「そう、ごめんなさい。」
特に気にしていない様に取り繕い、話題を変えようと頭を高速で回転させる。
「A、好きって何だと思う。」
そう言って立ち止まった凛に私も足を止める。
好き……、好き？
…それは恋愛感情のことを言っているのであろうか。サッカーが好き、だとか友達として好き、だとかそう言う話では無いと思うけれど、相手が凛なだけあって完全には否定出来ない。
「好きだから、付き合って欲しいって言われた。」
唐突な凛の言葉に衝撃を受ける。
まさかの恋愛話だった。それも凛が告白をされたと。誰に？
凛は話し掛けずらい雰囲気があるせいか、周りは王子様として一定の距離でチヤホヤしているだけだったはずなのに。
「えっ……と、んん……。その人のことを、魅力的だとか傍に居て欲しいとか、自分だけに恋愛感情を向けて欲しいとか……。
そういう感情があるならば、それは凛が知りたい意味での、好き、だと思う…。」
我ながらスラスラと出てきたものだ。正直私にも恋愛経験なんて殆どないため好きの定義は分からないけれど、
私が凛に抱くこの感情が恋だという事を自覚できないほど鈍感でもない。だから私が思う恋の定義は、私が凛に向けるこの感情だ。
「そうか、じゃあ俺は福井の事は好きじゃない……。付き合うってのは、どうやって断ればいいんだ…」
凛がぽつりと呟いた言葉に胸が跳ねた。
「福井さんなの……」
私が苦笑してそう言うと凛は口に出しちまったと少し慌てた様に手の甲で口を隠した。
終わり
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
