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先ほどのお腹にホールドされていた時とはちょっと違う。

あの時は駄々をこねた子供が「ままーっ」って言いながらぶーぶー文句を言っていたイメージだったけれど、
今のこの触れ方は……私の経験上、拗ねているか機嫌を損ねているか怒っている。
肩に頭をのっけてぐりぐりしていた先ほどの甘えた攻撃とは異なり、同じ頭を乗せるという行為なのに、今度はほぼ全身でのっかっているような重み。

逃げられないように、全身で覆いかぶさっているようだ。

額でこすりつけていたのが、今度は顔を首筋に埋めている。先ほどのもくすぐったかったけれど、今はくすぐったいどころの騒ぎではなかった。

熱い彼の熱が、唇やら鼻やらの体温が直に私の体に押し付けられているのだ。私の体は当たり前のように驚き、一瞬にして全身の筋肉がこわばった。



「……あ、のっ……涼太君っ」


「んー?なに」



のんびりとした返事。悪気もなにもないようなそのトーン。いつもならその声にも冷静に返していたが、状態が状態だ。そんな短い単語だけの言葉でも、一瞬開いた口の熱が私の首に当たり、思わずくぐもった声を上げる。



「っ、どいて……あらいもの、まだだから」



そういって逃げるように身を捩れば、涼太君は逃がすものかとばかりに、腕に力を込める。
ぎゅっという音とともにまた近づく体温。今度は凹凸のひとつもない頬も私の体にぴたりと触れた。



「いいっスよ、このままやったら?忙しいんでしょ」


「ん、……そこで、しゃべん……っないで」



顔がどんどん赤くなるのも、体中に熱が走っていくのもわかっていた。

涼太君が口を開いてしゃべるたびに、舌が首筋をかすめ、熱い吐息が耳の付け根までかかる。彼は悪気のないようにふるまっているが、どう考えたってわざとだ。このやろう。


厭味ったらしい台詞のあと、涼太君はふっと私に首筋に息を吹きかけた。びくりと跳ね上がる肩は、彼が強い力で抑えている。

こうなってしまうと抵抗しても無駄だった。肩を小さく揺らしても、涼太君はひそかに笑うだけ。「ざぁんねん」そう言っているように、くすりと。

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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖月零 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月17日 17時

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