第四十二話 佐藤先生の落とし物 ページ45
「西賀サンは力持ちでごザーマスね」
「へへっ、ありがとうございます」
褒められるというのは自身の成長に繋がると思う。
だってやる気が出るから。
アンジェリーヌ先生に頼まれた物運びを終え、別れの挨拶をし、急いで教室へ走った。
次はネイガウス先生の授業なのだ。
絶対とは言わないが、遅れたくない。
うん。
「………ん?」
走っていると廊下の端に何か、キラリと輝く光源を見つけた。
気になったので立ち止まり、拾い上げてみる。
ライター?
左右に振るとちゃぷちゃぷと音がするのでまだ使えそうだ。誰かの落し物だろうか。
だとすると煙草を吸われてる人の物だろう。
名前とかあったら助かるけど、……あ。
「あらら〜」
ライターの底には焼き印がされていた。
四文字の日本人の名前だ。
あの先生はポケットに穴が空いているのか。
それとも落し物をしやすいだけなのか。
(もうすぐ授業も始まるし、授業が終わった後で返しに行こうか)
ここに置いておくという手もあるが、廊下の端にまた転がしていても気づく人が居るかは微妙だ。
それに目立つ場所に置けないので自分が探して届けに行った方が確実だろう。
「この魔法円の抜けている部分を前に出て描いてもらう。…神木」
無事ネイガウス先生の授業に間に合い、つい先程未完成の魔法円を描きあげた先生が神木さんの名を呼んだ。
返事はなかった。ので気になったから顔だけ横へ向けると、いつもなら隣に仲の良い友人が居た神木さんはどこか心ここに在らずと言った表情をして、何も見ていない様子だった。
「神木!」
先生が一声大きく彼女の名を呼んだ。
「っあ…すみません。聞いてませんでした…」
自分が惚けていた事に驚いているのか、皆の前で恥を晒してしまったことを恥じて神木さんは俯き、唇を噛み締めた。
やはり昨日の屍の一件と、朴ちゃんと何かしらあって使い魔に襲われたことが、彼女のモチベーションを低くしてしまっている要因ようだ。
「どうした。お前らしくもないな。…代わりに西賀。お前に描いてもらおう」
「ハーイ」
初めは「え、これどうやって覚えるの?」だった魔法円もいつかは慣れというのがやって来て、自然とすらすら描けるようになっていた。
黒板に描かれているのは二週間前くらいに課題で出てたな。何度も描き練習していてよかった。
「終わりました、先生」
白いチョークを粉受けに戻しながら報告した。
109人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫叉(プロフ) - 空さん» はい(*´ω`)ゞ応援ありがとうございます((o(。>ω<。)o)) (2020年6月4日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 猫叉さん» いえいえ。むしろお節介すみません!これからも応援していますので、頑張ってください! (2020年6月4日 21時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - 空さん» ハッ、ホントだ!!あちゃー(´∩ω∩//`)早速修正してきます(照)ご指摘ありがとうございました!更新頑張ります♪ (2020年6月4日 20時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - いつも更新楽しみに読んでます!ちょっと気になっちゃったので、言わせていただきます。30万の3%は30万×0.03なので、九千円なので、30万9000円の給料になります… (2020年6月4日 20時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - そう言って下さると作者のやる気が凄く出ます(笑)閲覧ありがとうございましたっ!例え読んで下さる方が少なくても書き上げてみせます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:猫叉 | 作成日時:2020年5月26日 8時