第三十一話 ネイガウス先生* ページ34
「では、これから悪魔を召喚する」
教室の床に描き上げられたのは、一つの複雑で大きな魔法円だった。
ネイガウス先生は描くのに用いた巨大コンパスを腰のベルトに取り付けた留め具に戻しながら、授業の開始を宣言する。
(そーいや、ネイガウス先生笑ったとこ見たことないな)
横顔を見てふと思った事だった。
「………」
隣で魔法円が描き上げられる工程を見ていた燐がもっと詳しく知りたいと思ったのか、足を一歩前に踏み出しかけたところをネイガウス先生が強く制止する。
「魔法円が破綻すると効果は無効になる。そして、召喚には己の血と適切な呼びかけが必要だ」
おもむろに右手に巻いていた包帯を一、二周ほど解き、薄ら血が滲んでいる包帯が見えたところで強く指を握り込むのが見えた。
たぶん古傷をそのまま完治させず、任務で逸早く使い魔を召喚するために、定期的にああやって傷つけて包帯で隠してらっしゃるんだろうな。
そして再度手を開き、傷口が開いて出てきた血を魔法円に数滴垂らす。
「”デュポエウスとエキドナの息子よ””求めに応じ””出でよ”」
おお、カッコイイ呼びかけ。
「!!」
変化はすぐに訪れた。魔法円が描かれた床だけ妙に歪み、同時にそこを介してゾクリと寒気を感じる空気が洩れたのだ。
悪魔はまず黒く長い腕を現した。
ネイガウス先生の制服から、偶に香る程度で、だけど鼻に残るニオイは今まで一体何かと思っていたが、正体を知って納得した。
「け、げぇっ…!硫黄くさ!!」
「あれ屍番犬か…は、初めて見たわ…」
「体が継ぎ接ぎだらけ…!」
あまりに強烈な悪魔の召喚に衝撃を受ける京都組。
子猫ちゃんはただ静かに硫黄に耐えていた。
「悪魔を召喚し、使い魔にすることができる人間は非常に少ない。悪魔を飼い慣らす強靭な精神力もそうだが、天性の才能が不可欠だからだ」
先生の説明を注意深く聞く。すると燐を一瞥する瞬間があった。しかし先生の表情から見て取れる思想は何も無かった。
「先程配ったこの魔法円の略図を施した紙に、自分の血を垂らして
最初に行動を起こしたのは神木さんだった。
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猫叉(プロフ) - 空さん» はい(*´ω`)ゞ応援ありがとうございます((o(。>ω<。)o)) (2020年6月4日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 猫叉さん» いえいえ。むしろお節介すみません!これからも応援していますので、頑張ってください! (2020年6月4日 21時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - 空さん» ハッ、ホントだ!!あちゃー(´∩ω∩//`)早速修正してきます(照)ご指摘ありがとうございました!更新頑張ります♪ (2020年6月4日 20時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - いつも更新楽しみに読んでます!ちょっと気になっちゃったので、言わせていただきます。30万の3%は30万×0.03なので、九千円なので、30万9000円の給料になります… (2020年6月4日 20時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - そう言って下さると作者のやる気が凄く出ます(笑)閲覧ありがとうございましたっ!例え読んで下さる方が少なくても書き上げてみせます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫叉 | 作成日時:2020年5月26日 8時