第十六話 消えた講師陣の謎* ページ19
「失礼します」
足を踏み入れ、部屋の中央に今まで捜し続けてきた人物をやっと見つけた。
「佐藤先生、お届けに上がりました!」
疲れがウソのように弾け、胸が踊るような気持ちで先生に駆け寄って手渡す。
「おお届けに来てくれたのか!ありがとう」
眉間に寄せていたシワを解き、安堵した表情で佐藤先生は書類を受け取られた。
「報告書みたいですがお時間大丈夫ですかね…?」
「ああ。問題ないよ。これで予定通り参加できる」
………参加??
「えっとあの、この書類は上司に確認してもらうものじゃなかったんですか?」
「え?あ、いや!確認してもらうよ、うん。確認してもらうけど用途が違うというか……ね」
珍しく焦ってる様子の佐藤先生を見、先生も何かしら関わりがあると確信した。
ちょっと探ってやれ、ふふっ。
「そういえば、今日は大事な用があるんですか。皆さん緊急とか言われてどこかに行ってしまわれてるんですよ。佐藤先生もなんですね?」
「うっ……まあ、そうだな。ちょっと将来を考えて講師陣で思い思いの品物をプレゼントして気に入って頂ければ……」
じょじょに語尾が小さくなっていくのは打ち明かしがたいからか。プレゼントを気に入って頂ければね。
訝しんでると追求を逃れようとしてか佐藤先生は一つ咳払いすると、
「おっと、そろそろ時間だ。もう西賀さんは帰ったほうがいいぞ。女の子の夜の帰り道は危ないから」
「分かりました。先生も帰る時は気をつけてください」
「ああ。気をつけて」
「失礼します」
振り返りざま、気づかれないよう一度だけ講師室を見渡してから廊下に出る。
ふむ、何やら面白そうではないか。これはみすみす逃す手はないぞ。思わずふふふ、と小さな笑いをこぼす。
さて、この時間ならまだ先生達は講師室に残ってるはずだが……今日に限って居らっしゃらない。
ますます怪しい。湯ノ川先生、奥村先生、足立先生も私に頼み事をしてからというもの全く姿を見せんからなあ。
皆緊急の用だの、将来に関わるだの仰って佐藤先生も出席されるみたいだし、大人の秘密の会合でも開くのかな?
まさか!報告書やら箱なんか持って?
やはりこのまま帰るなんてできない。サッと近くの部屋に隠れる。
そしてほんの少しだけ扉を開けて、先生が出て来るのを今か今かと待ち構えた。
お、出て来られた。その面持ちは正に神妙。
では調査開始!
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猫叉(プロフ) - 空さん» はい(*´ω`)ゞ応援ありがとうございます((o(。>ω<。)o)) (2020年6月4日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 猫叉さん» いえいえ。むしろお節介すみません!これからも応援していますので、頑張ってください! (2020年6月4日 21時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - 空さん» ハッ、ホントだ!!あちゃー(´∩ω∩//`)早速修正してきます(照)ご指摘ありがとうございました!更新頑張ります♪ (2020年6月4日 20時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - いつも更新楽しみに読んでます!ちょっと気になっちゃったので、言わせていただきます。30万の3%は30万×0.03なので、九千円なので、30万9000円の給料になります… (2020年6月4日 20時) (レス) id: d888a76c5d (このIDを非表示/違反報告)
猫叉(プロフ) - そう言って下さると作者のやる気が凄く出ます(笑)閲覧ありがとうございましたっ!例え読んで下さる方が少なくても書き上げてみせます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫叉 | 作成日時:2020年5月26日 8時