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25歳の誕生日を迎えて11日後、私の人生は唐突に幕を閉じた。
理由はあまりにもありきたりで、信号無視で横断歩道に突っ込んで来たトラックから少女を守ろうと車の前へ飛び出したから。
ほんの一瞬身体中に強烈な衝撃と激痛が走った後、まるでテレビの電源を消すように私の意識はブツっと切れた。
そしてなぜか今、こうして自分が死んだこと、死んだ理由を理解し、おそらくこの世ではない場所で留まっている。
身体を動かそうにも、そもそもその動かす身体がないような感覚でここが何処であるのか、そもそもここは「場所」なのかすらわからない。ただただ暗く、何もない。そうとしか表現が出来ない場所にいる。
だが不思議と不安な感情はない。おそらく感情を生み出す身体の器官すらも、今はないからだろう。
加えて、あともう少しで自分は転生すること、1人の人間を助けて死んだという功績、いわば徳を称えて生前私が読んでいた漫画の世界のいずれかに転生出来ること、その漫画は選べないことを誰から説明されたわけでもないのに、何故か理解して転生の瞬間を待っている。
数秒か、それとも数百年か、そこで待ち続けた後、唐突に白く輝く光に吸い込まれるように、私は今まで生きていた世界とは別の世界へと転生を遂げた。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時