109話「一緒にすんな」 ページ9
「この間のテストの結果、見せて♡」
数日後。何事も無かったかのように、私たちはいつも通り学校に来て、授業もなんとか乗り越えたあとだった。
部活が始まると思いきや、リコ先輩からそれはもういい笑顔で宣言された。
私は数日前に返されたはずのテスト用紙を鞄の奥から出した。
クリアファイルに全てまとめてずっと眠らせていたのだ。
「誰から行く？」
「…………心配な明星と火神は最後だな」
「は！？」
リコ先輩と日向先輩の言葉に声が出る。
私はクリアファイルを2人の前にパァン！と思い切り叩きつけた。
「心配って何処がですか！これの！どこが！」
「どれ、…………あ？！」
「えっ、なになに早く見せて日向くん」
日向先輩は私の解答用紙を見て目を見開いた。リコ先輩も気になって、クリアファイルから別教科の解答用紙を見て、絶句している。2人の反応を見て、他の2年生の先輩方も私の解答用紙に集まっていた。
「明星って頭、良かったんだな。オレ、本当に馬鹿だと思ってたよ」
「降旗くん、すごい失礼だよ」
「いや〜、だってさぁ。明星世界史でいつも爆睡してるじゃん」
「河原くんや。睡眠学習というものをご存知かい」
「そんなこと言うから馬鹿って言われるんだよ」
「福田くん？」
さっきから3人組があーだこーだ言っているが、結果が全てである。
解答用紙には、丸以外ついていない。点数は全て3桁なのである。
「まあ、バカと天才は紙一重って言いますしね」
「黒子くん厳しすぎない？」
「普段の発言から想像出来ないので」
「能ある鷹は爪を隠すってね」
「……嘘だろ」
私の点数を見て、1番驚いているのは火神くんだった。彼はバツだらけの自分の解答用紙を持って、呆然と私の解答用紙を見ている。
「お前いつでも寝てんのになんでそんなに出来るんだ！？俺と変わんないだろ！」
「バーカ。一緒にすんなっての」
「しかも全部満点！？パーフェクトってことか！？」
「無駄にパーフェクトの発音いいじゃん。……ま、このくらい御茶の子さいさいよ」
「……ハッ、男子5人も結果見せなさい！」
こうしてリコ先輩は残りの5人の成績も見ることになり。
火神くんの点数がありえないほど低いことが分かり。
次の実力テストで成績が低いと、補習になり、その補習がインターハイとぶつかっていることが分かり。
「じゃ、勉強会するわよ♡」
リコ先輩の言葉の通り、地獄の勉強会が始まったのである。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白咲ナナ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2023年10月22日 1時
