卒業 ページ17
＿＿＿＿＿
手首を掴んでいた日和の手は、いつの間にか私の手を握っていた。
無言で見つめ合うけど、今日はなぜか心音が穏やか。
今なら私も……。
すると、日和が一足先に口を開いた。
「……ぼくは、Aちゃんのことが大好きだね。
君が過去に誰を好きでいようと関係ない。
Aちゃんが許すなら、ずっとそばで、ぼくの愛を受け取っていて欲しいね」
いつもいつも、日和に言わせてばっかりだったな。
少し不安を帯びていて、だけど真っ直ぐな目で私の言葉を待っている大好きな人。
こんなの、迷う必要もないでしょ。
完全に油断している日和の手を強く引いて、ずいっと顔を近づける。
「なんで急に弱気なの、いつも通りのわがままでいいのに。
……私も日和のこと大好きだから」
日和の大きくて綺麗な目がぱちぱちと瞬きをするけど、当の本人は何も言わず動かず。
「どうしたー？」と日和のやわらかいほっぺたをつつくと、ようやく瞳が動いた。
「ほんとに？」
「ほんと。日和好きだよ」
「夢じゃないよね？」
「ほらほら現実だよ」
むにっとほっぺたを引っ張ってやる。
ライブが控えてるから赤くならない程度にと思ったけど、どうやら別の理由で頬を染めてしまったらしい。
「Aちゃん……！！やっとぼくを見てくれたね？」
「遅くなってごめんね」
「もう待ちくたびれちゃったね！」
日和は私を軽々と持ち上げてくるりと一回転すると、ぎゅうっと強く抱きしめた。
今回は私も抱きしめ返してるからね？
頭を撫でながら、私の頭の上で話す日和。
「待たせた分、遠慮はしないからね。もうAちゃんはぼくのものだね！」
「うん、日和も私のだから」
同じことを言い返してるだけなのに、自分のセリフで急に小っ恥ずかしくなった。
恥ずかしいのを誤魔化すように、日和の胸板に顔を押し付けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
傘(プロフ) - 炭酸水だぜベイベさん» ありがとうございます…！！本当に励みになります！温かいコメントをいただいてこちらも感動しています…。ぜひ今後もお楽しみに🤗 (2022年5月15日 23時) (
レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸水だぜベイベ - 続編おめでとうございます！主様の表現力によって毎度 感動させてもらっています、大好きです!!! (2022年5月15日 17時) (レス) @page3 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トド | 作成日時：2022年5月15日 14時
