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痣、痣、痣。









大きな古傷から、最近できたような真っ赤な切り傷。









脇腹には膿んで手のつけられない火傷。









「Aさん、これ、なに、どうして、いつから、」









「ずっと、耐えてきました、この世に生を受けて…物心ついた時から、もうずっとあの人たちにぶたれて、蹴られて、私、もう痛くて、」









ぽろぽろと大粒の涙が、拭っても拭っても溢れ出す。









Aの声は、今までのことを悲痛に物語っていて。









「みんなにこんな私、見られたくなかったんです。
前が前だったから、元気な私でみんなの所に現れたくて、こんなボロボロになった私を、みんなに見られたくなかった、」









でも、と。









必死に言葉を紡ぐ。









「もう、我慢できなかった…いたくて、毎日痛くて、辛くて、誰かに助けて欲しくて、皆なら助けてくれるかもって、私、」









「安心しなさい、もう大丈夫だ。
もう、我慢しなくていい。
寧ろなんでもっと早く来てくれなかったんだ、君が傷ついているのも知らずのうのうと生きてきた自分が許せなくなるだろう」









皆、Aの話を聞きながら、Aの体に寄り添った。









手を取り、頭を撫で、頬の涙を拭って。









「たすけて、くれるんですか?」









「当たり前だろ!派手に助けてやるぞ?」









那奈は余程安心したのか、うつらうつらとその濡れた瞳の瞬きが遅くなり始める。









目の下の隈を見る限り、あまり寝付けてもいないのだろう。









「わたし、もう、ひとりじゃ…ない、」









す、と瞼を閉じて、穏やかな寝息を立て始めた。

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優兎 - 気づいたらめちゃくちゃ目ぇ真っ赤にして泣いてたんですけどどうしてくれるんですか(すみませんほんと神作品過ぎて泣きましたありがとうごさいましたぁぁぁ) (2021年10月1日 20時) (レス) id: 0546f8eab3 (このIDを非表示/違反報告)
マオ - 最高。こんな良い話を作って下さりありがとうございました。 (2021年7月4日 0時) (レス) id: 09a91c185e (このIDを非表示/違反報告)
マカロン大好き星人2号 - とても良い話でした。これには迷わず、泣いちゃいました(´;ω;`)感動する作品をありがとうございました(*_ _) (2021年4月7日 22時) (レス) id: c35a1d0183 (このIDを非表示/違反報告)
玲華(プロフ) - 前作に続き、泣けます。耳もとに優しい歌をも読みました。とても感動しました! (2020年5月26日 15時) (レス) id: 3c62b8e90c (このIDを非表示/違反報告)
愛心 - さらにこの続きとかもできたら描いてくれませんか? すごく面白いのでみんなが夢主を守るという物語を  できたらよろしくお願いします (2020年4月20日 23時) (レス) id: b59d3295d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハナ | 作成日時:2019年11月5日 7時

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