雨 ページ22
夕食後、シルクさんに手伝って貰い、村に関連する物と髪を燃やした。
立ち上る煙が夜空に吸い込まれるように消えるのを見届け、部屋に戻った。
雨粒が屋根を叩く音で目を覚ました。
まだ辺りは暗い。
ベッドから抜け出して、窓から外を眺める。
大ぶりの雨粒が窓を伝って落ちていく様はどうも好きになれない。
…雨は嫌いだ。
私の節目になる日は大抵雨だ。
家族が亡くなった日。家族の葬式の日。
贄にされた日。
私の日常を呆気なく壊すのは、全部雨の日だった。
ついには雷が落ち始めた。
雷も、嫌い。
今晩の雷は特に、捨てられた過去が私に訴えかけているように思えた。
──もしかしたら、これまでのように…
また、居なくなってしまう？
そう思うと居ても立ってもいられず、部屋を飛び出した。
部屋を出た所から見える広間には誰も居ない。
分かりきっていた事なのに、締め付けられるかのような痛みを感じる。
雨音が大きく聞こえる。
「如何して貴方はあの時一緒に死ななかったの？」
そう言っているように思えて、頭が痛い。
幻聴から逃げるように走るけれど、逆に響く。
『誰か…！』
縋るように扉を開けると、視界が途端に明るくなった。
？「あれ…A？」
『マサイ、さん…』
マサイ「おー。」
マサイさんに会うと、今まで聞こえていた幻聴が消えた。
頭痛からも解放され、今までの恐怖感からか思わず抱き着いてしまった。
突然の行動だったにも関わらず、マサイさんは理由も聞かず優しく抱きとめてくれた。
マサイ「どした？怖い目でも見たか？」
『…また、皆が居なくなる夢を見ました。』
マサイ「それは怖かったな…大丈夫。モトキ起こしてホットミルクでも入れてもらうか？」
『良いです。』
マサイ「じゃあ一緒に寝るか？」
『…はい。』
その夜、私はマサイさんに腕枕をされながら眠りに就いた。
同じ水の筈なのに、暖かさに包まれているようだった。
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かれん - 凄く楽しく読めました！ (2018年10月27日 18時) (
レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - OSO さん» 最後までご閲覧頂きありがとうございました！他の作品の更新にも努めて参りますので、これからもどうかよろしくお願いします。 (2018年9月25日 16時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
OSO - 完結おめでとうございます！人外化系は私も好きです！他の作品も頑張ってください！ (2018年9月25日 7時) (レス) id: 04bdd4e69b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 伊達。さん» ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月19日 14時) (レス) id: 5925c39507 (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - 透さん» ちん、と読みます。話中の全てにルビを振らせて頂きます。 (2018年9月18日 22時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊達。 | 作成日時：2018年8月23日 13時
